週刊ベースボールONLINE

MLB最新戦略事情

【MLB】大谷の二刀流キャンプインは前代未聞。さあ、どうなるか!?

 

大谷の二刀流でのキャンプインはメジャー選手も誰も経験がない。経験がないという意味では野茂英雄氏のメジャー挑戦時の95年と似ている!?


 メジャー球界も2月中旬にキャンプがスタートする。大谷翔平選手がマイナー契約の招待選手なので、思い出すのは過去同じ立場でキャンプインをして戦った選手たちだ。2005年の中村紀洋、06年の斎藤隆、10年の高橋尚成、12年の川崎宗則、14年の松坂大輔らは開幕メジャーないしは、開幕数週間後に昇格を勝ち取っている。

 基本的に、MLB球団はメジャー契約の40人枠の選手から開幕の25人を選ぶため、そこに割って入るのは大変。14年の松坂はオープン戦の6試合、23回2/3を投げ、防御率3・04の好成績も開幕は3Aに送られ、昇格は4月16日だった。

「(ピッチングが)良くても、契約上、そうするしかなかったということも身をもって経験しているし、こっちならではの事情は分かっている。でも続けていればどうにかなるだろうと思ってやっていました」。結果を出しても40人枠の選手のほうが優先される。そこで腐ったらおしまい。常にポジティブに考える。

「状況はラクではないのかもしれないけど、かと言って苦しくてどうしようもないわけではない。苦しい中にも、楽しいことは間違いなくあります」

 彼らに比べれば大谷のマイナー契約は違う。40人枠に入っていなくても、エンゼルスは二刀流の大谷の才能をどう生かすかを考えながらチーム編成を進めている。チームの長期的なプランに入っているのだ。

 似ているのはあえていえば1995年の野茂英雄か。2人ともマイナー契約だが大谷が231万5000ドル、野茂が200万ドルと、金の卵向けの契約金を得た。23年経ってもこの金額がほぼ同じなのが興味深い。

 野茂については当時ロサンゼルスの地元紙が「メジャー・リーガーでない選手に与えられたものとしては史上最高額」と報じた。当時は今と違い、メジャーのスカウトが日本で入念に調査ということもなかったし、通用するかどうかも分からなかった。200万ドルはリスクがあったが、ピーター・オマリーオーナーが日本から来たパイオニアに敬意を表し、奮発してくれたのだと思う。

 一方、大谷はご存じのように2億ドルの価値があると言われながら、25歳以下の国際選手に関する新ルールで、桁が「2つ」も減り、231万5000ドルとなった。

 今さらながら、野茂はよく頑張ったと思う。95年2月に契約したとき、MLBはストの真っ最中で、キャンプには代替選手が用意され、球界は前代未聞の事態に混乱していた。3月末にようやく労使が合意に達したが、開幕日は4月26日にずれこんだ。野茂にはMLBのキャンプはこんな感じだよと教えてくれる日本人の先輩選手もいなかった。そんな中、4月17日にフォートローダーデールでのヤンキース戦で4回1安打の好投、開幕メジャーを勝ち取った。

 大谷は、先発投手オンリーでキャンプに入るなら、開幕までの道筋は大体想像がつく。だが近年誰もやったことがない二刀流キャンプイン。エンゼルスはいろいろなシナリオを用意しているだろうが、始まってみないと実際どんな調整になるか、オープン戦の起用方法も分からない。そしてどんな結果を残せばメジャー昇格となるのかも――。

 前代未聞という点でも、95年の野茂を思い起こさせるのである。
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング