今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 連載『トップスター登場』は「王選手への50の質問」
今回は『1960年4月13日増大号』。定価は10円アップで40円だ。増大号恒例のセンターカラーは『覇者の自信』と題した南海ベンチの写真。恥ずかしながら、この時代の写真の管理は、あまりよくできていないのだが、これは小社に現存している1枚だ。少しうれしくなった。
グラビアは各地のオープン戦風景で、本文巻頭は『特集 金田は開幕日にどんな球を投げるか』。もちろん、国鉄の大エース、
金田正一である。この年、国鉄の開幕は4月2日、巨人戦(後楽園)の予定だった。実は、1952年からずっと国鉄の開幕戦は後楽園の巨人戦だった。理由は分からない。それほど厳密なルールはなかったのだろう。
金田は、59年は21勝19敗と不本意な成績だったが、この年はプロレス・センターでのトレーニングで体幹を鍛えた成果で、オープン戦から調子がいいらしい。というか、21勝でも十分ではないかとも思う。
長嶋茂雄は打倒金田に闘志を見せる。
「自分の場合、1年目にキリキリ舞いさせられたせいもあって、なんとか金田さんを打ち込もうと研究したが、2年目の昨年は、なんとなくピッチングに精彩がなかった。だから一応、打てたけれども、あれが大投手金田さんの限界だとは思えない。ことしははじめからバリバリ投げてくるんじゃないか……とそんな気がしてならない。
とにかく自分は打たなければならないし、金田さんは打たせまいとするが、ことしは三度目だからおたがいベストコンディションでぶつかりたい」
連載『トップスター登場』は「王選手への50の質問」。巨人・
王貞治が多彩な質問に答えるというものだが、野球の専門的な質問はほぼなく、「タクワンを食べますか」など、どうでもいいものが多い。ちなみに王の答えは「食べます。小さいころから大好きです。寮でも、いつも食べてます」というものだった。また、「野球をしていなかったら」という質問には「機械いじりが好きだったので、たぶん技師になっていたでしょう」と答えていた。
人物スポットは『円月殺法杉山の魅力』。59年の首位打者、南海・
杉山光平の打法は円月殺法と言われていた。これは柴田錬三郎の名作・眠狂四郎の剣法だが、杉山の打法はバットの先を投手に向け、小さな円を描きながら戻す動きを何度か繰り返すというものだった。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM