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【ヤクルト】侍ジャパン・稲葉監督に推薦された超逸材【キャンプ取材現場発】

 

【ヤクルト】侍ジャパン・稲葉監督に推薦された超逸材


伸び盛りの高卒3年目が定位置獲得を狙う


 あれはフィギュアスケートの羽生結弦が金メダルを獲得した日だから2月17日のことだ。昼過ぎの室内練習場、その片隅では記者が用意したパソコンの生中継映像を食い入るように見つめる3人がいた。小川淳司監督、土橋勝征コーチ、そして上田剛史。大一番となる演技を、息をのんで見守っていたのだ。

 そこにひょっこりと顔を見せたのが廣岡大志だった。「何やっているんですか?」。記者が詳細を説明すると「オリンピック、やっていたんですね」。群がっていた一堂からは笑いが起こった。「テレビとかあまり見ないので」と廣岡。2月のこの時期は、平昌オリンピックではなく、野球漬けの毎日だった。いや、単純に知らなかっただけか。

 首脳陣に聞けば、誰もが口にするのが「廣岡大志」の名だ。期待の大型遊撃手は「山田2世」とも呼ばれる。現在背負う「背番号36」は、かつて池山隆寛川端慎吾が着けた出世番号。その将来性を誰もが信じている。侍ジャパンの稲葉篤紀監督が視察に訪れた際には、宮本慎也ヘッドコーチが有望株として推薦するほどだ。

 一軍定着を目標に掲げる今季は、春季キャンプから実戦でアピールを続けている。2月15日のハンファとの練習試合(浦添)では「六番・遊撃」で先発出場すると、チームで唯一フル出場。2安打1打点2盗塁をマークした。「スイングする際に顔を残し、バットの芯との距離が出るように」という宮本ヘッドコーチのアドバイスに結果で応えた。16日のDeNA戦(同)でも2回に熊原健人から左中間への二塁打を放ち、得点につなげた。

「失敗しても思い切っていこうと思っていた」と話す廣岡。実戦が始まっても石井琢朗コーチと行う早で特打は継続中だ。21日の巨人との練習試合(那覇)では、菅野智之との初対戦が実現する。「チャンスがあれば、思い切ってぶつかっていきたい」。使うフレーズにブレはない。成長を続ける20歳の若武者が、沖縄で充実の時を過ごしている。

文=富田 庸 写真=内田孝治
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