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【高校野球】U-18代表監督に選任された永田裕治氏に期待される手腕

 

4強に進出した昨春のセンバツ限りで勇退した永田氏が侍ジャパンU-18代表監督に就任。伝統校・報徳学園高で培った手腕が注目される(右は報徳学園高の後輩に当たる大阪桐蔭高・西谷浩一監督)


 日本高野連は2月21日、大阪府内で理事会を開き、侍ジャパンU-18代表監督に永田裕治氏(前・報徳学園高監督)を選任したことを発表した。今年9月に開催されるU-18アジア選手権(宮崎)の侍ジャパンを率いる。

 永田氏は報徳学園高で1981年夏の甲子園全国制覇メンバー(右翼手)で、当時のエースは金村義明氏(元近鉄ほか)だった。中京大を卒業後、大阪・桜宮高、母校・報徳学園のコーチを経て、94年4月に監督就任。大谷智久ロッテ)を擁した2002年春のセンバツ優勝へ導いている。甲子園出場は春11回、夏7回で、通算23勝(17敗)。

 昨年春のセンバツで勇退したが、今年10月で55歳と若く、次なるステージでの活躍が待望されていた。過去の国際大会では高校日本代表コーチとして2004年の第21回AAA世界野球選手権(台湾)で準優勝、05年、第6回AAAアジア野球選手権(韓国)で優勝を経験している。現場から退いたセンバツ後は同校で教員を続け、また、日本高野連の技術・振興委員会の委員として高校野球発展に尽力し今回、白羽の矢が立った。

 逆転の報徳――。どんな逆境でもあきらめない、不屈の精神力を伝統校で浸透させてきた。毎年のことだが、高校日本代表チームは夏の甲子園大会直後にメンバー招集され、大会本番まで短期間で一体感を高める必要がある。リーダーシップ旺盛な熱血漢・永田氏は、急造チームを束ねるには最適任と言える。

 今年、3年生の報徳学園高には、ドラフト候補・小園海斗内野手がいる。4強へ進出した昨年のセンバツでは2年生ながら「一番・遊撃」の中心選手として活躍。小園は「入学間もなく、1年夏から使っていただいた」と恩師への思いは特別強かった。昨年9月のU-18W杯(カナダ)では2年生ながら代表入りしており、高校最終学年の今年も侍ジャパンの有力候補だ。

 日の丸入りを果たせば、間違いなく「永田イズム」を最も理解し、チームメートとの橋渡し役となるはずだ。

 今後、総務役員(1人)、ヘッドコーチ(1人)、コーチ(2人)、アシスタントコーチ(2人)が4月25日の日本高野連理事会で決定予定。また、選手選考については昨年から第一候補選手の発表を6月中旬(一昨年まではセンバツ大会終了後)に変更されたが、今年もセンバツ、春季都道府県大会、地区大会と視察を行った上で絞っていくという。

 昨年まで2年間、侍ジャパンU-18代表を率いた小枝守監督(元・拓大紅陵高監督)に続いて、永田氏も現役監督ではない立場だけに、侍ジャパンのチーム編成に集中できるメリットがある。小枝氏は昨春の広島県大会へ直接足を運び、強肩強打の捕手、広陵高・中村奨成(広島)を発掘した実績もあり、永田氏の独自の視点にも注目が集まるところだ。

 激戦区・兵庫、そして甲子園で実績十分の永田氏の手腕が大いに期待される。

文=岡本朋祐 写真=牛島寿人
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