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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画119】『特集 長嶋茂雄と山内和弘』【1960年7月20日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

『ネット裏でささやかれる3つの怪情報』


表紙は巨人藤田元司


 今回は『1960年7月20日号』。定価は30円だ。表紙はカラーテレビ用ユニの巨人・藤田元司だ。巻頭グラビアはセの首位を走る中日。『中日のホームラン打者』のタイトルで森徹江藤慎一が紹介されている。センターグラビアでは南海・杉浦忠が6月28日の勝利で対東映戦18連勝(無敗)を飾ったという記事。ただし、連続イニング無失点は58でストップした。

 本文巻頭は『長嶋茂雄山内和弘〜四割打者と三冠王に挑戦する両雄』。物価がよく分からぬが、前年の契約更改で、巨人・長嶋茂雄が「来年はこれだけ上げてください」と月給10万円アップを要求した話から始まる。

 そのために掲げた目標は「ホームラン王を獲る」だった。前年、首位打者を獲った長嶋だったが、ホームラン王を逃したことがかなり悔しかったらしい。ただ、実際シーズンに入ると、ホームラン数はあまり伸びない一方で打率は絶好調。ある記者が「この調子でいくと、四割打てるんじゃないか」と尋ねると、長嶋は「う〜ん、100メートルでも10秒0なんて記録が出ているから不可能ではないでしょう」と答えている。

 一方、パで三冠王を狙う大毎・山内和弘は「ことしは絶対三冠王を狙う。そして達成できそうな気がする」と語っていた。魔法とも言われたシュート打ちを誇り、無類の打撃研究家としても知られるが、チーム内では「あれは要するにヒットを打つマシンに過ぎない」との批判もあった孤高の男でもある。

 山内は座談会『これからがヤマ場だ!』にも登場。パの優勝を争う2チーム、大毎から小野正一、山内和弘、南海から杉浦忠、野村克也が登場しての座談会だが、山内の打撃に触れた個所を抜粋してみる。

記者 山内さんのバッティングのいいところというと。

野村 いいところは、悪いところが全然ないという点なんや(笑)。

杉浦 なんとなく打たれちゃうね。そう言っちゃ失礼だけど、そうものすごい感じじゃない、だけど打たれている(笑)。

野村 豪快という感じじゃないけど……。

杉浦 中西さん(太。西鉄)に打たれたときは、ガーン、やられた! という気持ちですよ。ところが山内さんの場合は、音があまりよくないんだ。ゴツンという音で、あっと思ってスタンドを見ると入っている。

『ネット裏でささやかれる3つの怪情報』という記事では、好調を維持する三原脩監督率いる大洋の疑惑を伝えている。いわく、わざと飛ばない古い球を使っているのではないか、という話だ。狭い川崎球場を本拠地とし、前年まで他球団には多くのホームランを許していた大洋だが、自軍には桑田武くらいしかホームランバッターがおらず、大して「恩恵」を受けていなかった。

 その対策として、実際、この年は球場の両翼を広げ、フェンスを高くしていたようだが、さらに古い飛ばないボールを使っているのでは、というウワサ話だ。川崎球場のホームランが激減しているのは事実だが、ボールの件の真偽は定かでない。

 以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。

 現在、週刊ベースボール60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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