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背番号物語

【背番号物語】「#66」鷹の“エース”vs.若き“いてまえ打線”の長距離砲

 

背番号は選手たちの「もうひとつの顔」だ。ある選手が引退しても、またある選手がその「顔」を受け継ぐ。その歴史を週刊ベースボールONLINEで紐解いていこう。

優勢なのは好守好打の職人タイプ


ダイエー・斉藤和巳


 2003年、いきなり20勝を挙げてリーグ優勝、日本一に貢献したダイエー8年目の斉藤和巳。エースの称号にこだわり、4年連続2ケタ勝利となった06年にも18勝で2度目の最多勝、沢村賞に輝いたが、1年目から肩痛に苦しみ、07年からも再び肩痛との戦いだった。その背中に一貫して輝いていたのが「66」だ。

 同じく8年目に10勝を挙げてブレークしたのがヤクルト山田勉広島には若手時代の横山竜士もいるが、「66」での一軍登板はない。象徴的なのが大洋の石井忠徳。通算28試合の登板で1勝1敗、「66」のラストイヤーに打者へ転向し、のちに横浜“マシンガン打線”の一番打者となった石井琢朗だ。「66」は投手より打者、特に守備力を誇る職人タイプが目立つナンバーと言える。

【12球団主な歴代背番号「66」】
巨人 大隅正人土井正三(コーチ)、栄村忠広、出口幸夫(雄大)、村上海斗☆(2018〜)

阪神 梶岡忠義(コーチ)、坂孝一濱中治前田大和(大和)、牧丈一郎☆(2018〜)

中日 水沼四郎椎木匠高橋光信落合博満(監督)、ビシエド

オリックス 大橋穣(コーチ)、栗山聡由田慎太郎山本和作吉田凌

ソフトバンク 長友安広(安宏)、緒方修、山本穰、カズミ(斉藤和巳)、松本裕樹

日本ハム バウアー西浦克拓ディアスダース・ローマシュ匡大嶋匠

ロッテ 三浦方義(コーチ)、福澤洋一吉井英昭天野勇剛(ユウゴー)、岡田幸文

DeNA 平山佳宏、浅利光博、石井忠徳(琢朗)、木村昇吾西森将司

西武 佐藤玖光、岡田悦哉(二軍監督)、横田久則田中靖洋松本直晃

広島 岡田悦哉(コーチ)、長嶋清幸、横山竜士、木村昇吾、遠藤淳志☆(2018〜)

ヤクルト 小淵泰輔(コーチ)、山田勉、本間忠真田裕貴大松尚逸

楽天 小島昌也、西村弥村林一輝
(☆は現役)

守備も光った和製長距離砲


近鉄・中村紀洋


 現役の筆頭格はロッテの岡田幸文だろう。2009年、育成ドラフト6位で入団し、1年目の開幕前に支配下登録されて快足と外野守備で台頭、2年目には“史上最大の下剋上”を完成させる決勝打を放った“育成の星”。ベテランとなっても守備範囲の広さは健在で、通算本塁打ゼロも異色の、いまや“育成のレジェンド”だ。

 ロッテからヤクルトへ移籍して「66」で復活したのが大松尚逸。唯一の外国人選手は中日のビシエドで、その系譜をさかのぼると、現役時代は「6」の印象が強い落合博満監督がいる。同様に「6」の名選手から「66」の指導者となったのが巨人の土井正三コーチだ。

 日本ハムで現役最晩年を過ごした落合から四番の座を奪ったのが西浦克拓。3年目から「66」を着け、ブレーク後も背負い続けた少数派だ。2チームで「66」を着けた木村昇吾は卓越した守備力の持ち主。楽天で長く着けていた西村弥も内野守備に定評があり、故障で育成契約となったときは「066」を着けて、1年で「66」へと復帰を果たしている。

 阪神は好打者が並び、将来の四番打者と期待された濱中治から、内外野をこなす守備も魅力の(前田)大和が継承した。「0」の印象が強烈な広島の長嶋清幸も最初の背番号が「66」。

 出世番号で特筆すべきは近鉄で5年目まで「66」を着けた中村紀洋だ。「5」を背負ってフルスイングする姿が印象的な長距離砲だが、三塁守備も巧みで「打撃よりも守備が好き」と語る“守備の人”でもあった。

写真=BBM
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