今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 作家・藤沢桓夫の「大阪夏の陣─南海・大毎3連戦」観戦記
今回は『1960年8月31日号』。定価は30円だ。ペナントレースはパが大毎、南海の2強態勢、セは混戦ながら大洋が首位
中日に肉薄している。後ろグラビアの見出しにも「破竹の勢い大洋ホエールズ」の文字が躍っていた。
巻頭は特別寄稿として作家・藤沢桓夫の「大阪夏の陣─南海・大毎3連戦」の観戦記。8月6、7日の試合で、勝敗は2勝1敗で南海の勝ち越しだが、その3戦目が0対7から南海の大逆転勝利と劇的だった。しかし、この試合の結果が記録ページでは2号先に掲載というのは、いただけない。正確を期したのだろうか。
巻頭特集は『風雲児
三原脩は優勝を狙う』。前述にように大混戦のセで、万年最下位だった大洋を率いる三原脩監督が台風の目となっていた。三原監督はこう分析する。
「こういう乱戦、混戦になってから、どのチームにもチャンスがある。Bクラス、大洋、国鉄、
広島にもチャンスが生まれてきた。私としては非常に謙遜しておるんですがね(笑)」
チーム状況として
秋山登を軸とした投手陣はまずまずだが、打線はアレージ、長打力とも今一つ。ただ、高い代打成功率で少ないチャンスを得点につなげていた。
「優秀な選手ばかりそろえていても、使い切れないとかえってみじめな結果になる。特に監督として一番苦労することは、選手の人間的なクセをつかむことで、私も温和な選手、やんちゃな選手、扱いにくい選手を上手に使いこなせるかどうかが、監督として勝てるかどうかという問題点なんです。私はこの点で使いこなせる自信がありますね。こいつはどうにもならんと人がいう選手でもサジを投げた選手でも使う自信があります。
従来の野球チームなんていうものは、選手さえよければ強くなるものだという考えの人が多かったが、最近はいかに名前の通った選手を擁しても、なかなか優勝することは難しいです。そろそろ監督というものの立場と責任の重大さをみんなが認識してもいいんじゃないですかね」
連載『
佐々木信也連載対談』は無私寮での浴衣姿の東映・
張本勲がゲスト。驚いたのは門限。遠征先でなかっただけではなく、寮でも一応11時となっているが、「決めた寮長が守らない」(張本)から事実上、ないらしい。さすがのハリやんも「ちゃんと守らなきゃいかんとなったほうが、もっときちんとしていけると思うんです」とも語っている。
以下は宣伝です。しばらく、まったく同じ文を掲載します。
現在、週刊ベースボール60周年企画として「週べでつづる12球団史」を制作中。第1弾は3月14日発売予定の巨人編です。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM