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巨人・菅野智之 エースの熱い思い。「家族じゃないけどこいつのためなら何でもしようと思える」

 

球界のエースに成長した読売ジャイアンツ菅野智之投手に独占インタビュー。投手陣のリーダーとしての自覚、常に進化を追い求める飽くなき向上心、チームへの熱い思い。自身の考え、信念を熱く語った。

常勝軍団復活へ。チーム作りのお手本は侍ジャパン


巨人・菅野智之


――エースとして今まで以上に求められる要求が高い。

「今年は立場も変わって選手会長という肩書もつきました。でもやることは変わりません。プレーで引っ張るのが一番大事です。でも気づいた部分もあれば後輩に伝えたい。雰囲気作りですね。活気のある形にしたいです。野手は坂本主将が盛り上げてくれています。投手は僕が中心にまとまっていきたい」

――昨年は最多勝、最優秀防御率のタイトルを獲得し、平成生まれで初の沢村賞に選出された。

「正直、昨年に関してはあれだけの成績を残した達成感があります。4位のチームでもやれた、そう思わざるを得ない部分もあります。人間ですから。ただそれプラスアルファで求められるのはリーグ優勝、日本一。そこで何ができるかですね」。

――昨オフの自主トレは宮國椋丞畠世周桜井俊貴中川皓太田中大輝の5投手の自主トレ費用を全額自腹で負担した。

「個々の強化ポイントを考慮しトレーニングメニューも作成しました。せっかく連れていくし1カ月以上一緒にいますからね。特に宮國は2年目から一緒。(自主トレに)行く前から今年にかける思いを聞いていましたし、ものすごく感じる部分がありました。家族じゃないけど、こいつのためなら何でもしようと思える。他の子たちも同じ気持ちで接したいと思っています」

――自主トレは他の投手に助言することで自分自身にもメリットはあったか。

「教えることで気づかされることもあります。人生に関わることなので、『どうすればいいんですか?』と聞かれて軽はずみに答えられない。『少し考えさせて』と。伝える難しさですね。もう少しこう言ってあげようかなと思ったりもしました。いろいろ感じる部分はありましたね」

投手の個人成績はチームの成績に直結するのでこだわってもいい


――今年から取り組んでいる高速シンカーについて。

「戦略的なところを隠すのはあまり好きじゃないんで包み隠さず話しますけど、シンカーで勝負しようとは今は思っていません。(右打者の)内角を有効に使いたいんです。外の直球、スライダーを生かすための球。沈む感覚が一番いい」

――これだけの成績を残して、なぜ新たな球種を覚えようとするのか

「1年目で戦っていて開幕から3連勝して。正直やれると思いました。打たれる気がしなかった。でも、対戦していくうちに相手の打者がこの間、空振りしていたのが(バットが)止まる。ファウルがヒットゾーンに飛ぶ。『これじゃダメだ。何か変わらないといけない』と強く思いました。毎年変わらなきゃいけない。(今年は)その変わることがシンカーだったんです。遅いボールを覚えようと。昨年戦ってみて落ちる球があったらもっと有効に戦えると思ったんです」

――「心技体」とよく言われるが、菅野投手の考えは「体技心」。その理由は。

「メンタルも技術もものすごく大事です。ただ全部求めるとしんどくなる。妥協点を見つけるのも大事だと思います。体が資本なので。体に不安があるとメンタルも技術的にも影響する。長いシーズンを考えたときに、普段の生活から体のことを考えることが大事だと思います。体が80パーセント、心と技で合わせて20パーセントですね。体がおかしいから気持ちが萎える。大体、心が乱れているときって体力面でよくない。マウンドで勝負するときはもちろん技術が入ってくる。それまでの過程で芯の部分では体が大事だと思います」

――先程言及したが、今年は選手会長に就任した。

「立場が人を変えるじゃないけど、言えるようにはなりました。チームとしても投手陣を引っ張ってくれと(球団から)言われました。その期待に応えないわけにはいきません。僕は(先発陣が)他の5球団とそんな力が劣るとは思わないです。例えばDeNA今永昇太濱口遥大石田健大。ウチは僕、田口麗斗、畠と遜色ない。他球団と劣らない戦力、もっと言えば勝ってると。全然心配していないです。投手の個人成績はチームの成績に直結するのでこだわってもいいと思います」

――WBCの一員として戦った昨年の経験も糧になると思うが。

「強いのはあれだけの選手が集まっているので当然なんですが、すごく強いチームだなと思ったのはお互いを尊敬、尊重しているんです。僕がジャイアンツに入ったときはお互いを認め合っていい雰囲気だった。今のジャイアンツにないわけじゃないですけど、もっと作り上げたい。自分がその中で若手の手本になりたいと思っています」

●菅野智之(すがの・ともゆき)
1989年10月11日、神奈川県相模原市生まれの28歳。東海大相模高では3年夏の決勝・桐光学園高戦で敗れて甲子園出場ならず。東海大に進学して1年秋からエースとして活躍。首都大学リーグ通算37勝4敗、防御率0.57。13年ドラフト1位で巨人に入団。新人の13年にチームトップタイの13勝をマーク。14年は防御率2.33、16年も防御率2.01で最優秀防御率を受賞。昨年は17勝5敗、防御率1.59で自身初の沢村賞、最多勝、3度目の最優秀防御率を受賞。プロ5年間で通算成績は126試合登板で61勝33敗、防御率2.18。186センチ、92キロ。右投右打。

■編集部からのお知らせ
3月7日に発売の雑誌「CoCoKARAnext」では読売ジャイアンツ・菅野智之投手のインタビューの他、プロ野球選手に学ぶ仕事術などストレスフルな時期を乗り越える情報を掲載。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

記事提供=ココカラネクスト編集部 平尾類
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