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ヤクルト・坂口智隆「オリックスで試合に出られなかった期間が自分を変えた」【ストレスを乗り越える仕事術】

 

ストレスは発奮材料とも捉えられる。自分で理由をつければいい



 東京ヤクルトスワローズ・坂口智隆外野手はストレスを前向きな要素と考える。

「この世界に入った以上、ストレスは切っても切れない。解消しようとするよりもストレスがあるから練習できるし、もっとうまくなりたいと思うんじゃないですかね」

 ストレスをエネルギーに変えられる。野球人生の分岐点はオリックス・バファローズで過ごした2012年からの4年間だった。故障や若返りを図るチーム方針で出場機会が減った。

「悔しい気持ちは当然ありましたよ。『なんやねん』って。でも今まで一軍でずっとやらせてもらった人間がダラダラできないし、態度にも出せない。だから代打でいくときは『絶対全部打ったろう』と。この経験は大きかったです。控えの気持ちも分かりましたしね。どうやって準備すれば試合にうまく入っていけるか。オリックスで試合に出られなかった期間が自分を変えてくれた気がする」と振り返る。腐らずに努力を積み重ねたからこそ、ヤクルトで再び輝きを取り戻した。

 12年5月に右肩を負傷すると1年間満足に投げられなかった。もう野球ができないという恐怖感や不安に襲われたが、「左手で箸をうまく使えるようになった」、「昨日より少し腕が上がった」、「こんなに肩が痛くてもバックホームで走者を刺したらかっこええな」と前向きな気持ちを失わなかった。

「ストレスは発奮材料とも捉えられる。終わったことは変えられない。時間がもったいない気がするんで。起きた出来事には絶対理由があるんです。マイナスに捉えることは簡単にできる。自分で理由をつければいい」

 逆境も自分を成長させるチャンスと発想を転換する。ヤクルトでもアキレス腱や両足のふくらはぎを痛めたが強行出場を続けた。「みんな故障を抱えて試合に出ている。珍しいことではないですよ」と笑い飛ばすが、坂口の野球に取り組む姿勢がファンの心をつかむのだろう。

 移籍3年目。青木宣親外野手の加入で今年は外野の定位置は保証されていない。2月の春季キャンプから中学以来18年ぶりに一塁も挑戦している。

「下半身がバリバリ張る。メチャメチャ難しいですよ。でも何かの目標に向けて準備している時が一番楽しいし、自分自身の伸び率が高い気がする。競争が厳しいのは十分わかっていますけど、全試合スタメンで出たい。一塁も全然やりますよ」

 しぶとく、たくましく。今年も全力疾走で駆け抜ける。

●坂口智隆(さかぐち・ともたか)
1984年7月7日、兵庫県神戸市生まれの33歳。神戸国際大付属高から2003年ドラフト1巡目で大阪近鉄バファローズに入団。05年からオリックス・バファローズに。08年から定位置を獲得し、11年には全144試合出場してリーグトップの175安打をマーク。15年オフに退団し、東京ヤクルトスワローズに移籍。外野で不動のレギュラーとして活躍している。通算成績は1221試合で打率.280、1239安打、26本塁打、341打点、72盗塁。181センチ、82キロ。右投左打。

■編集部からのお知らせ
3月7日に発売の雑誌「CoCoKARAnext」では読売ジャイアンツ菅野智之投手のインタビューの他、プロ野球選手に学ぶ仕事術などストレスフルな時期を乗り越える情報を掲載。

記事・写真提供=ココカラネクスト編集部 平尾類
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