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ヤクルト・由規「3.11」の決意

 

完全復活を目指すシーズンがもうすぐ始まる



 ヤクルト由規が3月11日、特別な思いでマウンドに上がった。この日の登板は2012年、15年に続いて3度目となる。

「この日は忘れてはいけないと常に思っている。いろいろ感じながら投げた」

 2011年3月11日に発生した東日本大震災では、仙台の実家が被災して、仙台育英高でバッテリーを組んだ1年先輩の斎藤泉さんを亡くした。生まれも育ちも仙台で、高校まで地元一筋。18年間そこで過ごしてプロの世界に羽ばたいた由規にとって、「3.11」は特別な日。「勝手に気持ちが入る」。試合前、三塁側ブルペンで黙祷した後、マウンドへ向かった。

 この日は4回3安打3失点と、納得できる結果は得られなかった。「良い投球を見せられたら一番良かった」と悔しさをにじませた。それでも、小川淳司監督は投球を評価して「(開幕先発ローテに)近づいているんじゃないかな」と語った。

 振り返れば、右肩故障の始まりはあの震災と同じ11年の9月だった。一軍登板の成績は、12年から4シーズン、空白となった。16年に一軍復帰を果たし、昨季3勝を挙げて迎える18年は、完全復活に挑むシーズンとなる。まずは先発ローテ定着、そして10年以来8年ぶりの2ケタ勝利。

「やっと一軍で投げられるようになって、仙台、東北の人たちに勇気を与えられるチャンス。元気に投げている姿を届けられたら」。苦しいリハビリ期間には、東北の人たちがたくましく生きる姿に励まされた。今度こそ、自分が恩返しをする番だ。

文=富田 庸 写真=内田孝治
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