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プロ野球仰天伝説

【プロ野球仰天伝説86】ハンマーを使って不振から脱出したメジャー2000安打の超A級打者【助っ人トンデモ話】

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

トニー・フェルナンデス[2000西武/内野手]



 周囲の目には“奇行”と見えても、トニー・フェルナンデスには、それがメジャー時代から続く当たり前の姿だった。

 2000年、西武に入団。メジャー16年で2082試合、2240安打(打率.288)、92本塁打をたたき出した超A級助っ人は来日直後の2月の高知キャンプでは腰に巻いたゴムチューブの端を通訳に持たせてランニング。さらにはトンネルの練習まで繰り広げて東尾修監督、ナインを驚かせたが、その独特の調整法はシーズンに入っても変わらない。

 5月、安打製造機のバットからピタリと快音が消え、33打席無安打のスランプに陥ったが、こんな“不振脱出法”があったのかと周囲を驚かせた。復活への武器にしたのが1本のハンマーだった。

 5月27日のロッテ戦。試合前に秋田・八橋球場で作業用のハンマーで素振りを繰り返すと、これが大当たり。2ランを含む2安打、4打点。関係者に頼み込み、譲り受けた“フェルハンマー”は、F砲の打棒を支えた。

 試合前の練習中には、必ずベンチ裏の暗い部屋で瞑想。ほかの選手たちがベンチ裏を通るときは、フェルナンデスに気を使って、そっと静かに通り抜けて行った。

 8月の福岡ドーム(現ヤフオクドーム)でウエート室常備のマウンテンバイクを拝借して乗り回し、「ドーム内の通路は運転禁止なんですけどね(笑)」と球場職員をあ然とさせたこともあった。

 敬虔なプロテスタントで、来日も「神様の導きがあったからだ」。愛読書は聖書。もちろん禁酒、禁煙。

「アメリカも日本も気持ちは同じ。いつも神様が見守っていてくれる。神を信じることだ。全力で取り組まないと神を裏切ることになるじゃないか」

 結局、00年は103試合に出場し、121安打、11本塁打、74打点、打率.327。メジャーの実力も本物だった。

写真=BBM
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