今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 『現役に賭けた杉下の執念』
今回は『1961年1月11日号』。定価は30円だ。今回もグラビアはオフ雑感が満載。
金田正一宅を訪問する国鉄の新人・杉内公孝、
徳武定之、東映新監督・
水原茂が東映の本拠地駒沢球場、無私寮などを訪れた様子が掲載されている。前年監督をクビになった
岩本義行は、水原と親しいこともあってコーチになったようだ。
水原監督は『
佐々木信也連載対談』にも登場している。補強を陣頭指揮で行っていたようだが、なかなかうまくいかず、「ほしいからと言ってデパートで買ってくるというわけにはいかんからね」と笑っていた。
本文巻頭は『三原の考える日本一防衛の秘策』。大洋・
三原脩監督は現実主義者だ。連覇の可能性を聞かれ、こう答えている。
「やってみなければ分からないから、自信があると言ったらおかしなことになる。ただ、私は優勝の可能性はあると思っている。60年と同じように。
巨人、
中日、
阪神のような上位球団が投打の調子を整えて一気に独走という形のペナント・レースになれば、非常に困難だが、60年のように混戦になり、もつれてくればなんとかなる」
戦力は劣るが、監督の采配勝負となれば、任せておけ、というところか。
また、大洋は運がよかったから優勝できた、の声には、
「たとえばマージャンなどは非常に運というか、ツキの要素が多いゲームだ。しかし130荘もやれば、ほぼ実力どおりの結果が出るんじゃないかな。野球はマージャンより運の要素が少ない。実力がなければ、とうていリーグで優勝することなんか、できないよ」
昔の球界話はたいていマージャンの話が出てくる。
『現役に賭けた杉下の執念』という記事もあった。中日監督を退任した
杉下茂が大毎で選手に復帰するという話だ。杉下はこう語る。
「いまは実に澄んだ気持ちだ。1年生として出直すつもりでいる。2年間のブランクは痛めたヒジを休ませるうえでむしろよかったと思う。投手としての勘を取り戻すのにいくらかの時間がかかると思うが、体力の調整ができ次第、完投型の投手になるのが最終の希望だ」
ただ、大毎・永田雅一オーナーは「1勝でいいから大毎のために稼いでくれ」と言っているから戦力よりは話題作りが優先の獲得だったのだろう。
以下、宣伝。
週べ60年記念シリーズ『巨人編』が好調発売中。次回、
日本ハム編も佳境です。今回は巨人編に比べ、ややくだけた企画もあります。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM