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永久欠番「77」――星野氏が東北で見せた功績への恩返し

 

楽天の選手、ファンに勝つ喜びを教えた星野氏


 背番号77が楽天にとって初めての永久欠番となる。3月19日、星野仙一氏のお別れ会が都内のホテルで開かれた。弔辞を読んだ楽天・三木谷浩史会長兼オーナーは「われわれの球団にとって歴史に残る重要な監督。77番は永久の宝物として取っておく」と星野監督が着けていた背番号77を永久欠番とする意向を表明した。それは星野氏が東北で見せた生き様や功績に対しての恩返しでもあるだろう。

 星野氏は2011年に監督に就任。13年には球団創設9年目にして初めての優勝、日本一に導いた。それまでAクラス入りは09年の一度のみ。勝ち抜くことを知らない選手たちに戦う姿勢を見せ続け、本当の強さを叩き込んだ。そして何より、選手だけではなく、ファンに優勝の喜びを教えたのだった。

 就任3年目での優勝ではあったが、その道のりは険しいものだった。就任した直後に東日本大震災が発生。「野球どころではない」と胸を痛めながら、それでも野球と、選手と向き合った。傷つき苦しむ選手たちを鼓舞し、時に厳しく、強くなれと言い続けると、必死に乗り越えようと歯を食いしばった選手たちとともに、楽天の歴史に新たな1ページを刻んだ。そして何より、何度も何度も被災地に足を運び、傷ついた東北の人々に寄り添い、励まし続けるなど、野球だけではなく自らの言葉や姿勢で、東北を照らした。

 14年限りで監督を退いたあとも、15年秋から球団副会長に就任し、チーム編成を担当するなど、球団にとって大きな存在となった星野氏。三木谷オーナーが「球団の歴史に残るとても重要な監督で、礎を築いていただいた」というように、優勝という成績以上にチーム、東北に残したものの大きさが、球団にとって初めての永久欠番につながったのだろう。05年創設の若い球団に、また新たな歴史が刻まれた。

 まもなく開幕するプロ野球。星野氏の闘志を受け継いだ選手たちが、必ずプレーで球界を盛り上げてくれるはずだ。東北のファンは星野氏に代わり、優しくも厳しく、見守る必要があるだろう。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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