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センバツ現場発

センバツ現場発/夏こそ記録員&トランペットでチームに貢献を誓う東邦高の女子マネジャー

 

第90回記念選抜高校野球大会が3月23日、阪神甲子園球場で開幕した。球児による13日間(準々決勝翌日の休養日1日を含む)の熱戦が繰り広げられるが、現場でしか分からない「センバツリポート」をお届けしていく。

トランペットは未経験


東邦高の中島マネジャーは花巻東高との2回戦で記録員としてベンチ入り。だが、初戦敗退を喫し“2代目”としての仕事をすることはできなかった


 東邦高には3年生女子マネジャーが3人いる。昨秋の公式戦前、3人でジャンケンをして記録員としてベンチ入りする順番を決めた。県大会、東海大会を経て、センバツ初戦(2回戦)で大役が回ってきたのが、中島未結マネジャーだった。

 中島マネジャーは記録員のほか、この甲子園で大きな仕事が託されていた。

「2代目トランペット」

 2016年、梶浦郁乃さんが「初代」として甲子園で演奏。2学年後輩の中島マネジャーは、先輩から楽器を受け継いだ。

 中学時代は吹奏楽部に所属し、専門はフルート。東邦高入学時も吹奏楽部か野球部で迷ったという。

「ブラスバンドも野球の応援ができる。でも、私の中学は小編成でした。東邦の吹奏楽部は大所帯で、しかもレベルが高いので、ついていけないのでは……と。以前から野球も好きでしたので、人に役に立ちたいと、野球部のマネジャーに決めたんです」

 トランペットは未経験。1年秋から梶浦さん指導の下で練習を重ね、2年夏にデビュー。記録員でないときはスタンドで吹く。昨秋はチームの東海大会準優勝に貢献した。

 そして迎えた甲子園。東邦高は20曲以上のレパートリーがあり、しかもアップテンポで、音質もかなりのグレードである。必死に練習を重ねたものの、センバツの段階では、5曲しか間に合わなかった。

 初戦突破を果たし、3回戦はアルプスからトランペットでナインをバックアップする予定だったが、チームは花巻東高に惜敗(3対5)。記録員として悔やまれることがあった。

「8回まで劣勢(1対5)で、ベンチの雰囲気もやや、沈みがちだったんです。でも、打席へ入る前に『大丈夫!!』『頑張って!!』とか声をかける勇気がなかった。9回に反撃を開始したときには言えたので、もっと早くするべきでした。これを機にもっと、頑張らないといけないと思いました」

 ベンチ入りできなかった同期の女子マネジャー2人へも「申し訳ない」という気持ちでいっぱいだ。

「夏に必ず、甲子園に戻ってきて、3人が全員ベンチ入りできて、トランペットも演奏する。一つひとつ勝ち上がって、全国優勝をできるようにしたい」

 夏までには「頑張ります!!」と、全曲をマスターする意気込みを見せた中島マネジャー。

「梶浦さんの仕事ぶりから、トランペットの完成度まで、すべて私の理想のマネジャー像。梶浦さんのようになりたい」

 最後の夏までに、選手に負けないだけの練習を積み、同時に部員への最大限サポートを宣言。地元・愛知へ戻れば、新入生が入学してくる。2年生には吹奏楽経験のある女子マネジャーが不在のため、「後継者探し」も中島マネジャーに託された重要な役割である。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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