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プロ野球デキゴトロジー/3月27日

ロッテ・渡辺俊介、途切れてホッとした大記録【2005年3月27日】

 

この年の渡辺は15勝4敗の好成績でロッテの優勝、日本一に貢献した


 プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は3月27日だ。

 今回は前日にアップした2005年3月26日の楽天初勝利の続きとする。3月26日が楽天にとっての記念日とするなら、一夜明けての3月27日はロッテ側の記念日と言っていいだろう。この年吹き荒れた、バレンタイン旋風の第1章だ。

 ロッテ先発は史上もっとも低空からボールをリリースした男、渡辺俊介である。千葉マリンでの開幕シリーズは実に9年ぶり。入団5年目の渡辺にとっては入団してから初めての経験となる。試合前、本拠地球場での盛り上がりのすごさに圧倒されていた。一時期、12球団一言われた独自の応援スタイルは、このシーズンに確立されたと言っていい。

 さらに始球式がすごかった。マウンドに上がったのは、レジェンド、55歳の村田兆治だ。ブルペンで練習を見ていた渡辺は衝撃を受けた。

「だって明らかに僕より球が速いんです。案の定、始球式は140キロでした。僕のストレートはせいぜい120キロ台なのに(笑)」

 しかも、この日の試合の展開が普通ではない。まずは2対0とロッテがリードして迎えた2回裏だ。いくら楽天が弱いとはいえ、なんとロッテの追加点は11点。二死から11人連続出塁だ。一死からベンチ前でキャッチボールを始めた渡辺だったが、味方の攻撃に終わる気配がなく、「相手の投手交代のときはベンチに戻って休み、それからダッシュをしてキャッチボールの繰り返しでした」という。

 試合は完全に決まったが、渡辺には違った意味の緊張感がかかる。初回からノーヒットノーランが続いていたのだ。過去のこういう試合の場合、たいていはほかの選手も緊張し、投手に声もかけない……という逸話になるが、このときのロッテは違った。

「みんなで狙え!と(笑)。まだ4回くらいからですよ」

 あまりに圧倒的な展開もあって、みな高揚していたのだろう。若い選手も多く、このイケイケぶりもロッテの武器でもあった。
 ノーヒットノーランは6回まで続いたが、渡辺の中には「やりたくない」という思いが強かったという。だから初ヒットを許したときは、ホッとした。

「シーズン途中なら狙ったかもしれないけど、まさに最初の最初ですからね。本音の部分で言うと、やってしまったら次に苦しくなるじゃないですか」

 最終的にスコアは26対0。渡辺は1安打1四球、2併殺の27人での完封勝利を飾った。これはプロ野球史上最多タイの大差完封試合である。

写真=BBM
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