プロ野球の歴史を彩った伝説のプレーヤーの打撃フォーム、投球フォームを連続写真とともに紹介。今回は“ミスタープロ野球”長嶋茂雄だ。 ややアウトステップするのが特徴
野球界を牽引してきた“太陽”長嶋茂雄の選手生活晩年のフォームである。若手時代ほどの柔らかさはないが、力強く、躍動感にあふれた“さすが”のスイングだ。
グリップは最初、高い位置にあり、その後で一度下がってまた上がると、ヒッチしている。踏み出しで、ややアウトステップするのが特徴。これは「バケツに足を突っ込む」などと言われるスイングの悪癖の例とされ、解説者に批判された時期もあった。
ただ、この写真の2、3コマ目あたりの背中のしわを見てもらえば分かるように、腰と肩は絶対に開かないし、左ヒザもギリギリまで踏ん張っている。だから、アウトステップしながらも、外角の球を強くたたくことができたのだろう。
相手の守備陣に「顔の方向とまったく関係なく打球が飛ぶから守りにくい」と言われたこともあったというが、それも納得できるスイングだ。
内角球だと思うが、ボールを引きつけたうえで、ヘッドを遅らせたスイングをし、体をやや後ろに引くようにして距離を作り、詰まらないようにしながら腰をうまく回転。スイングは手首が折れず、ヘッドが高い位置で保たれている。
●長嶋茂雄(ながしま・しげお)
1936年2月20日生まれ。千葉県出身。右投右打。佐倉一高から立大を経て58年巨人入団。74年限りで現役引退。[主なタイトル]MVP(61、63、66、68、71年)、新人王(58年)、首位打者(59、60、61、63、66、71年)、本塁打王(58、61年)、打点王(58、63、68、69、70年)。[通算成績]2186試合、2471安打、444本塁打、1522打点、190盗塁、打率.305。
写真=BBM