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センバツ名勝負伝説

【センバツ名勝負伝説11】一度だけの勝負で「大明神」が逆転弾

 

いよいよ始まった「第90回記念選抜高校野球大会」。週べONLINEでは歴代の名勝負をピックアップし、1日1試合ずつ紹介していく。

坂崎対策で「全部、敬遠」


のち巨人入りした坂崎だが、高校時代ほどのインパクトは残せなかった


1955年4月8日決勝
浪華商(大阪)4−3桐生(群馬)

 昭和30年、1955年センバツの決勝は、浪華商−桐生の古豪同士の対決となり、1点を争う好ゲームを繰り広げた。

 浪商は三番・勝浦将元、四番・坂崎一彦、五番・山本八郎の強力クリーンアップが売りで、特に坂崎は初戦から打ちまくり、準決勝まで14打数8安打、1本塁打、4四球。殊勲打連発で各校の投手を震え上がらせていた。

 対戦相手、桐生の稲川東一郎監督が坂崎対策として指示したのが「全部、敬遠」だった。稲川監督は指示を徹底するためか、宿舎の壁に「坂崎大明神」と書いた張り紙をした。つまり、さわらぬ神にたたりなし、である。

 指示どおり、桐生の今泉喜一郎投手は坂崎を4度敬遠したが、ただ一度、2対1とリードしていた6回一死一塁で勝負する。カウントが2−2となったことで「全部歩かせるのもシャクだった」(今泉)とカーブで勝負。それを坂崎が見事にとらえ、逆転2ランだ。当時の心境について坂崎は、「歩かされても気持ちが切れることはありませんでしたよ。ただで塁に出られるんやから、もうけたと喜んでいました」と振り返っていた。

 粘る桐生は9回に追いつくが、浪商は延長11回サヨナラ勝ち。先頭打者で敬遠されて出塁した坂崎が、最後はスクイズでホームにかえっての1点だった。

写真=BBM
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