今季のプロ野球はルールの改正がいくつかあり、観戦する側もこれまでと違った状況を目の当たりにすることが増えるだろう。実際に、
ロッテ対楽天の開幕戦(3月30日、ZOZOマリン)では、「リクエスト」や「申告敬遠」が早速使われている。リプレー検証により判定が覆り、試合の流れを左右する場面もあった。こういった状況は今後、何度も見られるはずだ。
また、リクエストによるリプレー検証ではその映像が球場に映し出され、選手やファンも見ることができるため、判定の結果に限らず、球場の雰囲気ががらりと変わることもあるだろう。その状況が試合にもたらす影響も考えながら、監督は試合を進めていくことになる。
一方で、ルール改正を喜んでいる選手もいる。楽天のハーマンにとって、“セットポジションの基準緩和”はピッチングに好影響をもたらしそうだ。ハーマンの昨年のボーク数はリーグトップの4。マウンドへ送り出す際にもそのことがネックになっていた。
昨年の楽天は、勝っている状況では基本的には7回は
福山博之、8回はハーマンが投げていた。だが、走れる打者が控える打順の場合には7回と8回を逆にするケースもあったのだ。それだけに「今年はその不安がなくなったので7回に福山、8回がハーマンで行くんじゃないですかね。『これはオレのためのルールだ』と(ハーマンが)喜んでいるくらいなので(笑)」と
森山良二コーチ。「役割がしっかりすることで本人たちのモチベーションも違うでしょうから」と7回以降を固定する方向で考えていることを明かした。
福山、ハーマン、
松井裕樹は勝利の方程式。彼らの活躍は優勝を目指す上で必要不可欠なだけに、チームにとっても好影響をもたらしそうだ。
また、二段モーションの罰則も廃止されている。その点では、
西武の
菊池雄星は昨年苦しめられた分、有利に働きそうだ。今季から採用される新ルールによって誰が得をし、どのチームがうまく使いこなすのか。そういった視点で試合を見てみるのもおもしろいかもしれない。
文=阿部ちはる 写真=BBM