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センバツ現場発/視線はすでに夏!春連覇にも浮かれない大阪桐蔭高

 

第90回記念選抜高校野球大会が4月4日、大阪桐蔭高の2年連続優勝で幕を閉じた。球児による13日間(準々決勝翌日の休養日1日を含む)の熱戦が繰り広げられたが、現場でしか分からない「センバツリポート」をお届けしていく。

「夏の勝ちにつながる閉会式にしよう!!」


大阪桐蔭高は智弁和歌山高との決勝を5対2で下し、36年ぶり史上3校目となる春連覇を達成した


 あまりにも切り替えが早過ぎる。それこそが「常勝軍団」の強さなのだ。

 大阪桐蔭高は智弁和歌山高との決勝を5対2で勝利し、2年連続3度目の優勝。第一神港商(1929、30年)、PL学園(1981、82年)に次ぐ、史上3校目のセンバツ連覇を遂げた。第90回の記念大会で金字塔を打ち立てたわけだが、Vメンバーは勝利の余韻に浸るのも束の間、すでに視線は夏に向かっている。

 優勝投手に輝いた遊撃手兼任の根尾昂(3年)は言う。

「春の山の一番上にまで登ることができた。今度は夏の山に登っていくので『春夏連覇』ができるように、明日から練習していきたい」

 根尾とともにドラフト上位候補に挙がる四番・藤原恭大(3年)も頼もしい。涙を見せなかった理由を報道陣に問われると、こう言った。

「夏に勝って、泣きたいです!! ここから夏まで負けられない。1敗もしない。無敗で夏優勝したい」

 今大会、多くの強豪校が「打倒・大阪桐蔭」で向かってきた。同校は根尾、藤原のほかにもドラフト候補7人を擁し「最強世代」と言われている。

 藤原は「自分たちが、それを上回っていけばいい」と、さらなるレベルアップを誓った。

 そして、最も驚かされたのは、PL学園・中村順司監督に並ぶ春夏を通じ史上最多タイ6度目の甲子園優勝へ導いた西谷浩一監督の意識レベルの高さである。

 智弁和歌山高との決勝。2対2で迎えた7回裏一死二塁からの決勝点は、エンドランだった。

 指揮官としては最善の策を選択したが、内容としては決して納得のいく得点パターンではなかったという。「動かしたほうが、相手は嫌がるかな、と。ただ、夏はエンドランで点を取っているようでは(甲子園では)勝てない」と厳しさを前面に出した。

 とはいえ「甲子園で、5試合できたことは収穫。どれだけ成長したか、明日の練習で見極めていきたい」と、第100回の記念大会となる夏を見据えた。

 紫紺の大旗、金メダルを授与されたセレモニー前には「夏の勝ちにつながる閉会式にしよう!!」と選手たちに伝えた。最後に場内一周をする中で、夏の甲子園開会式で「また入場行進したい!!」と、意欲を持たせるのが趣旨。大阪桐蔭高は実力が超高校級であるばかりか、考えも次元が違う。でなければ、36年ぶりの「春連覇」という偉業は達成できなかった。

文=岡本朋祐 写真=石井愛子
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