長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。 実は演技もあった
カッカしながらも心の中は冷静。左腕・下柳剛(阪神ほか)には、そういう二面性があった。
2007年10月1日の横浜戦(横浜スタジアム)のときもそうだ。まず、遊撃手の秀太に球が飛んだが、はじいてエラー。下柳はヒザをついたままグラブを叩きつけた。さらに次の打球もショートに飛んだが、大事にいきすぎてセカンドしかアウトにできず。次の瞬間、下柳は怒声をあげてグラブを思い切り叩きつけた。
下柳のブチ切れ事件として有名だが、実は演技もあった。
「チームに緩みを感じていたんで、あえてやったんですよ」(下柳)
とはいえ、マウンド上の下柳のテンションはいつも高い。納得のいく配球で追い込み、最後、これしかないという最高のフォークを投げながら
中日・
森野将彦に見送られた際、思わず「振らんかボケ!」と怒鳴ったこともあった。
写真=BBM