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伊原春樹コラム

【記憶に残る助っ人03】手を焼いたカブレラ、真面目だったラミレス/伊原春樹コラム

 

バッティングは頼りになったが……



 今年も数多くの外国人選手がやってきた。毎年そうだが、プロ野球で優勝を勝ち取るために彼らの活躍は必要不可欠だ。個性的な選手も多いのも外国人選手の特徴だろう。ファンの人気を博した選手も多い。

 私が接してきたなかで一番手を焼いたのがカブレラだ。パワーを生かしたバッティングは頼りになったが、とにかく守備がおろそか。きちんとサインプレーを実行しない。2001年、私が西武監督になる前年、1点差ゲームのある試合で無死一塁となり、バントシフトのサインが出た。マウンド上の豊田清は一塁を守っているカブレラが前に出てから投げるわけだが、カブレラはそれを実行しない。挙句の果てに豊田はボークを取られてしまった。

 その年の秋、監督となった私はカブレラに「今度は俺がマネジャーだ。チームプレーができなかったら守らせない」と言った。カブレラは「OK、OK」と口にしたが翌年、日本にやって来てのオープン戦。下関での寒い日の試合だったが、シートノックでカブレラが姿を現さない。悠長にコーヒーを飲んでいたから、さすがに怒った。

 結局、札幌ドームで行われたロッテとの開幕戦でカブレラを守らせなかった。試合後、通訳を伴ったカブレラは「守らないとリズムが出てこない。一生懸命にやるから守らせてくれ」と頭を下げてきた。チームプレーを最優先に考えることを約束して、次の試合から守備に就かせた。頼もしい四番であったことは間違いないのだが、カブレラはとにかく調子に乗ると、こちらがそれを抑えることを繰り返した。


 巨人ヘッドコーチ時代にともに優勝を目指して戦ったラミレスは真面目なプレーヤーだった。自らデータもきちんと取り、それをバッティングに生かす。打席ではきちんと相手の配球を読んで打つ。時に内角の難しいボールを見事に打ち返していたが、それは何も考えずにとらえることはできないはずだ。

 ラミレスに聞くと、「ワタシはピッチャーよりキャッチャーを意識しています」と言っていた。自分に対する捕手のリード傾向を調べ上げ、それを頭へ完全にインプット。それで打席に臨んでいるのだ。だから、その日、登板する投手ではなく、マスクをかぶる捕手がだれかを気にしていた。

 現在、ラミレスは監督としてDeNAを率いているが研究熱心さは相変わらず。ラミレス監督の手腕で頂点を狙ってもらいたい。

写真=BBM
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