長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。 大きな勘違い
巨人の末次利光(民夫)が、外野でヘルメットをつけて守ったことがある。別にフェンスに激突した際の安全策というのではない。相手チームのファンが、何か投げ込んだときのディフェンスである。
ライトを守る末次は、どうしても敵地の応援団に背中を見せることになる。いまのファンは想像できないだろうが、昔は小石や瓶、コインといろいろなものがグラウンドに投げ込まれ、特に甲子園と
広島で何度も怖い思いをしたという。それで「とにかく頭だけでも守ろう」とヘルメットをつけることにしたのだ。
しかし、大きな勘違いだったことがすぐ分かった。
ヘルメットをつけた後、これまでは遠いほうに落ちていた石や瓶が、体のすぐそばにビュンビュン飛んでくるのだ。「みんな、あれでも遠慮していたんですね」と末次は苦笑。ヘルメットはすぐやめたという。
写真=BBM