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中日・小笠原慎之介を兄に持つ藤沢翔陵高の変則右腕

 

横浜高戦で公式戦初登板初先発


藤沢翔陵高の右腕・小笠原は横浜高との神奈川県大会3回戦で先発し3回途中3失点で降板した。中日小笠原慎之介を兄に持つ


 3年春にして公式戦初登板が初先発。しかも、相手は横浜高。4月14日、夏のシード権をかけた神奈川県大会3回戦、藤沢翔陵高の先発を任されたのは右腕・小笠原智一(3年)だった。2015年夏、東海大相模高の甲子園優勝投手である小笠原慎之介(中日)を兄に持つ。

 兄は全国の頂点を手にしたが、弟は今春の県大会で初めてベンチ入りを遂げた苦労人である。もともとはオーバースローだったが、「上のレベルだと、この先、通用しない」と昨年10月に腕を下げた。ところが、左ヒザが流れて体の開きが早くなるため、ボールが見やすくなる弱点があった。投手出身である川俣浩明監督(元ロッテ阪神ほか)からのアドバイスにより、今年3月になって手が加えられた。

 セットポジションで、モーションする前から左肩を入れるフォームに修正。つまり、インステップ気味から投じられるので、ボールの出どころも見づらくなった。「変則投手」という武器を手に入れた小笠原は苦節2年を経てメンバー入りを果たし、川俣監督から「練習から良い。一番、調子が良い」と先発を託されたのだ。

 初回はリズム良く3人で片づけた。内野ゴロ3つと持ち味を発揮したが、2回に四、五番に連打を許すと、その後、捕逸で先制点を奪われる。3回にも2つの四球をきっかけに捕逸が絡み、2点適時打を浴び、3回途中3失点で降板した。チームは0対7で、8回コールド敗退を喫している。

「初回を抑えていけるかな? と思ったんですが、相手のほうが上でした。走者を出してからストライクが入らなかった。自分で自分を苦しめてしまった。事前に監督からは『中継ぎで行くぞ!!』と言われていたんですが、試合前に『先発で行くぞ!!』と。本当はなかったチャンス。モノにしたかった」

 起用した川俣監督は「あとは経験です。2イニングくらいをしっかり抑えれば、夏もある」と期待を込めた。

 背番号は中日で着ける兄と同じ「11」を背負った。小笠原は「監督が配慮してくれたのだと思います。やっぱり、夏がメーン。変に連絡を取らないほうが……」と、今大会のベンチ入りは、兄に報告をしていないという。

 もちろん、兄は尊敬する投手である。「マウンド上で落ち着きがあって、ピンチになっても慌てない。そこはマネできたら、と思います」。春の公式戦を終え、あとは夏の県大会を残すのみ。「夏に背番号をもらえたら、(兄に)連絡したい」。厳しいチーム内競争を勝ち抜くつもりだ。

文=岡本朋祐 写真=大賀章好
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