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週刊ベースボール60周年記念企画

【週ベ60周年記念企画172】名選手必ずしも名監督ならず【1961年7月17日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

「投手の投げ過ぎ問題」について


表紙は巨人長嶋茂雄


 今回は『1961年7月17日号』。定価は30円だ。

佐々木信也連載対談』では阪神の代理監督になった藤本定義が登場する。タイトルは「投手操縦の秘訣」だ。

 かつての監督時代(戦前の巨人では黄金時代を築いた名将)、そして投手コーチとして投手育成の第一人者とも評価されていた藤本は、当時、論議になることが多くなっていた「投手の投げ過ぎ問題」について以下のように語っている。
 ちなみに「酷使」については、さすがに球界内でもよくないとなってきたが、若手は別で、ある程度、投げさせなければ伸びない、という声も多かった。

「プロ野球のあり方として、ピッチャーは今日より下手にならなきゃいい。同じ状態か少しよくなりながら10年間もったほうがいいでしょう。急にうまくなっても3年か4年でダメになってしまったら本人も損だし、球団も下手だということになるんです。

 どんどん調子がいいときほおらしたらいいというのは間違いです。ただ若いピッチャーを伸ばすということで練習させるのは一つの方法です。試合じゃなく、練習ですよ。試合でどんどんほおらすというのは、プロ野球全体の大きな見方から行ったら損じゃないですか」

 さらに、こんなことも言っている。

「コーチというのは、自分の体験を教えちゃいけないと思うんですよ。やはりバッティングのコーチでもなんでも、理に合った方法で教えんといかんでしょうね。まあ、名選手必ずしも名監督ならずというところですな」

 さすが投手のローテーションを確立させたと言われる男だ。ただ、ローテーション自体は当時の流行りのような言葉になってきており、本文巻頭特集の『藤田と堀本と別所コーチ』によれば、一番似合わなそうな(?)巨人・別所毅彦コーチがこの年から導入していたようだ。ただ、たぶんにキャンプに参加した「ドジャースかぶれ」の一面があり、どのくらい投手の酷使に向き合っていたかは未知数。さらにいえば、時にローテにこだわり、試合を投げてしまうように映る投手交代について、ファンからの反発を買っていた(当時、勝てる試合にエース級をリリーフにつぎ込むのは当たり前だった)。 

『フラッシュ』では日本のオールスターが「ABC放送」で全米に流されることが決まった、という記事があった。メジャーの放映が地域圏の関係などで制限されたことで(たとえばニューヨークで試合がある場合、その時間帯に別カードを流すことで観客動員に影響が出るとし、禁止する)、あまった枠で「ワールド・ワイド・スポーツ」を企画。その中で放送が決まったらしい。

 以下、宣伝。

 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』が好評発売中です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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