今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 巨人・長嶋茂雄『優勝と三冠王へ驀進』
今回は『1961年8月28日号』。定価は30円だ。巻頭グラビアは『優勝と三冠王へ驀進』。
巨人・
長嶋茂雄である。この号に一覧が出ていた成績表では、8月13日時点で打率.366、18本塁打、58打点と打撃3部門は、いずれもトップ。大洋・
桑田武が17本塁打、57打点で迫っているが、この記事によれば15日に長嶋が2本塁打、3打点で引き離した。
巻頭特集は『危機をはらむ12球団の内幕』。タイトルはおどろおどろしいが、内容は意外とたわいもなかった。見出しだけ列記する。
「優勝から最下位へ…三原(大洋)」
「川上内閣と藤田の立場(巨人)」
「藤本監督のプラス・マイナス効果(
阪神)」(初出から修正)
「派閥に悩む門前監督(
広島)」
「森と江藤の不仲説(
中日)」
「金田七連敗のウラ(国鉄)」
「田宮の見たチームの現状(大毎)」
「杉浦にやってきた限界(南海)」
「川崎を批判する底流(西鉄)」
「大下の中谷の対立(阪急)」
「わがままの
バウアー(東映)」
「危機は頭からやってくる(近鉄)」
一応、最下位どっぷりの近鉄だけ説明しておこう。かなりひどいことになっている。マネジャーが通訳を殴る事件があり、球団社長は「夢枕に神様が現れ……」などのあいさつをし、あげくグラウンドに神主を招いてお祓いさせた。
千葉茂監督の退陣も濃厚となり、スカウトが新人獲得のあいさつに行っても「面倒を見てくれる監督が誰になるか分からないから入れません」と言われる始末……。
『
佐々木信也連載対談』は阪神の遊撃手・
吉田義男が登場。当時、二塁手・
鎌田実、遊撃手・吉田、三塁手・
三宅秀史の阪神内野陣は鉄壁と言われていた。読んでいくと1球1球、捕手のサインを見てのポジショニング、二塁とのアイコンタクトなど、いまにも通じる守備論になっていた。そして、そんな吉田でも困ったのが打者・長嶋だ(右打者)。右方向にひっかけさせようとアウトコースに投げても、逆にそれが三遊間への強い打球になるという。
吉田 大体もう、そこへくるということをあらかじめ予測して守備ができたですけどね。やっぱり長嶋君の場合、どこでも打つからね、守りにくい。ほんとはうまいバッターほど守りやすいわけなんですけどね。
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週べ60年記念シリーズ『巨人編』『
日本ハム編』が好評発売中。第3弾の『阪神編』も鋭意制作中です。
では、またあした
<次回に続く>
写真=BBM