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週刊ベースボール60周年記念企画

ど真ん中に投げても打たれぬ巨人・村瀬/『週ベ60周年記念企画183』【1961年10月2日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

本文巻頭は『水原・川上戦わば』


表紙は巨人長嶋茂雄


 今回は『1961年10月2日号』。定価は30円だ。巨人の三番・王貞治、四番・長嶋茂雄の「ON砲」がいつから言われ始めたのかは定かではないが、ヤンキースのミッキー・マントル、ロジャー・マリスのいわゆる「MM砲」がきっかけになったのは間違いない。

 この61年、王はまだ一本足打法にはなっていないが、グラビアに「ヤンキースのマリス、マントルの日本版か」とある。もしかしたら言われ始めていたのかもしれない。

 本文巻頭は『水原・川上戦わば』。それぞれリーグでV争いをけん引する東映・水原茂監督、巨人・川上哲治監督の話だが、なんと因縁深き、大洋監督・三原脩にインタビューしている。自らチームが最下位とあって、三原も気楽なもので、「けっきょく、巨人軍は非常に常識的な選手が多すぎるということになるでしょうね。それが圧倒的な力を出せない原因でしょうね」と言いたい放題。

 巨人−東映の日本シリーズが決まった場合については「はっきり言えることは選手の技量以上に、監督同士の才能と度量の戦いになるでしょうね」と語っている。いつも言葉にトゲがある人だ。

 前回紹介した途中入団の巨人・村瀬広基は9月17日の広島戦で完封勝利を飾った。『優勝狙う右腕堀本と村瀬』では、別所毅彦コーチが以下のように称賛している。

「あのシュートはワシの若いころを思い出させるよ。なんと言っても球が重いことがいいね。ズシンとくる。捕手ならだれに聞いても分かるけど、みんな手がはれているんだ。だからたとえど真ん中に投げ込んでも打たれない。バットには当たるんだけど、飛ばんのさ」

 真ん中でも打たれないなら無敵だ。

 佐々木信也の連載対談では、南海の親分・鶴岡一人監督が登場。前回、右腕の動脈閉そくの記事が出た杉浦忠は、対談の前日が手術だった。血の循環をよくするための手術だったらしい。

 佐々木に監督の苦労について聞かれた鶴岡は、こんなふうに答えている。

「覚悟はしてるよ。ほかの人よりよけい給料をもらっているんだから、それで腕組んでぼやっとしとって優勝できるなら、こんないい商売ないよ。やっぱりゼニをもらう人はそれだけ悩みがあるわけや」

 以下、宣伝。

 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』が好評発売中。第3弾の『阪神編』はめでたく本日発売です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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