今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 『夜ごとに水原の顔が…』
今回は『1961年10月16日号』。定価は30円だ。東映の優勝が近づいてきた、いや、そういう雰囲気になってきた。巻頭グラビアでは『優勝ムードがいっぱい』の見出しで29勝を挙げ、30勝を目前としたエース・
土橋正幸の特集があった。
本文巻頭でも『夜ごとに水原の顔が…』という記事で、自分たちの手の内を知る前監督、東映・
水原茂との戦いが予想される巨人側の反応が載っている。ただ、編集部は戦々恐々の声を拾いたかったのだろうが、総じてさほど意識した様子はない。
打撃の神様、川上哲治監督の言葉も1年生監督とは思えない。
「水原さんは東映が勝つために一生懸命やっておられるんだし、私は巨人軍のために全力をあげてやる。ただそれだけですよ」
一方、東映サイドは選手も完全にその気で、悪く言えば、やや浮かれていた。
3年目の
張本勲は、「ジャイアンツなんて大したことないぜ。俺は逆立ちしても勝てると思うよ」。土橋もまた「ジャイアンツは長嶋(茂雄)一人だよ。あとに続く選手がいないから楽だと思うよ」と言いたい放題だ。
ただ、東映優勝ムードの陰でひたひたと追い上げていたのが、南海。『最後に笑うか
鶴岡一人の粘り』という記事があった。
鶴岡監督は「世間では、もう巨人−東映が日本シリーズをやるような噂でいっぱいや。それをうちが勝ったら、巨人−東映の日本シリーズを期待してくださるファンに申し訳ないやないか」と冗談を言いながらも逆転優勝に向け、闘志満々。「あんなチームには負けられんよ」の言葉もあった。
『球界インタビュー』のゲストは巨人の背番号61、途中入団の
村瀬広基だ。関大中退はかなりもめて、監督からは除名とも言われたらしいが、「どうせ巨人にお世話になるなら除名でもなんでもかまわないと思いました」と話している。
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では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM