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週刊ベースボール60周年記念企画

くちびるをかむ水原、泣いたる鶴岡/『週ベ60周年記念企画187』【1961年10月30日号】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

『南海巨人かく戦う』


表紙は左から巨人川上哲治監督、別所毅彦コーチ


 今回は『1961年10月30日号』。定価は30円だ。混戦(初出から修正)となったパ・リーグの優勝が南海と決まる。南海、そして東映の終盤の戦いは、まさに死闘となった。

 これも神様のいたずらか、両者のラスト5試合はすべて直接対決だった。まず、南海の本拠地・大阪球場での1戦目に南海がサヨナラ勝ち。これで残り4試合に南海は2勝で優勝、東映は3勝か2勝1分で優勝となった。

 10月14日、舞台は東映の本拠地・駒沢に移るが、南海の勢いは止まらず、5対4、翌日も4対2で制し、2試合を残し、劇的な逆転優勝を決めた。東映の土橋正幸張本勲らは随分、荒れたようだ。

 南海・鶴岡一人監督は優勝決定後の取材で「わしより選手たちが西銀座シリーズ(当時の巨人、東映の球団事務所が西銀座にあった)と書きたてるのに反発を感じ、素直に優勝させんぞ、とことん東映をいじめてやる、とファイトを燃やしました。大阪の試合でもいじめてやろうに尽きておりましたが、あと1勝になると、もういじめてやるではない。勝とうとなりましたのや」と語った。

 すぐさまセの優勝巨人から長嶋茂雄坂崎一彦、南海から野村克也広瀬叔功を呼んで『南海巨人かく戦う』と座談会もやっている。長嶋、野村のMVPはすでに決まっていた。

 この年の日本シリーズは、スタンカによる危険球の挑発もあって「ケンカシリーズ」「暴力シリーズ」とも言われるが、後半にそれを感じさせるやり取りがある。

記者 長嶋さんは、南海の投手の誰をマークする?

長嶋 一応やっぱりスタンカですよ。一種のゆさぶり戦法でくると思うね。だから、それに乗らんようにしていくのがまず第一よ。向こうのペースにはまらんようにじっくり行くことが大事だと思うな。

記者 スタンカならビーン・ボールも覚悟して。

長嶋 1つ2つはね(笑)。僕の場合は随分揺さぶって攻めてきたからね、セのピッチャーも。

野村 長嶋君、ビーン・ボールは投げさせないよ、投げてもしょうがないよ、選手権だものね。

 以下、宣伝。

 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』『阪神編』が好評発売中です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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