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編集部発25時

小手指、たこ焼き、西武と言えば……それでも締め切りはやってくる?/週べ編集部25時【0502編】

 

これは週べ編集部の逡巡と決断をつづった超不定期連載である。たぶんに言い訳がましい内容が含まれているので興味ない方は読み飛ばしてください。

あのレジェンドのインタビューを……


4月3日、メットライフ初戦では東尾修氏と大きな背中のあの人が始球式


「野球をかじってる人が2位で“よかった”なんて言っちゃダメですよ」

 日に焼けた笑顔でたしなめられた。2年目を迎えた西武の指揮官、辻発彦監督。西武黄金時代の名二塁手だ。

 10年以上前、解説者時代の辻監督のコラムを担当していたときを思い出し、背筋が伸びる。ふだんは笑顔をたやさず、優しい人だが、こと野球になると妥協しない。言葉に対してもそうだった。

 少し前の話になるが、春季キャンプの南郷でお会いしたとき、3年連続Bクラスから大きな補強もなしの2位に「さすがですね」と言った後の返事だった。

 新人・源田壮亮を打撃の不安がありながら開幕から遊撃のスタメン起用。そのまま最後まで使い続けた。選手起用により、守備・走塁の重視、さらには自身が「ブレない」ことをしっかり伝えたのだと思う。厳しさと情を併せ持ち、さらに「勝ち方」を知り尽くした見事な采配だった。

 今季もまた、野上亮磨牧田和久が移籍し、投手陣に不安を抱えながらの快進撃だ。さすがとしか言いようがない。

 今週作業、次週発売の西武特集は、1カ月近く前に決めた。開幕から好調だったこともあるが、埼玉移転40周年の節目であり、仮に発売近辺の順位が2位か3位となっても過去モノをメーンにすれば、という判断だった。今の選手のインタビューがなくても黄金時代のパジャマみたいなユニフォームを懐かしがってくれるファンも多いはずだ。

 だが、“有事”に過去企画を増やすことについて、担当Kが思いのほか渋った。

「今のファンは最近の西武が好きという人が多いんですよね。あんまり昔ばかりでは……」 

 そのチームが醸し出す空気に一番敏感なのが、現場に足を運んでいる担当者だ。無意識のうちに身内びいきもあるはずだが、ほぼ会社にこもっているデスクの私よりは嗅覚は確かだろう。

 それでも最初は保険をかけ、「このまま首位をキープしてたらな」と答えたが、チームは、さらに勢いを増していく。インタビューは申請のスケジュールもあるということなので、山川穂高とベテランの栗山巧に申し込んでもらった。さらに先週時点で「状況に関係なく、今の西武メーンでいこう」と決める。もう辻さんを信じるしかない。

 ただ、2つ、わがままな指示をした。1つは過去埼玉移転後の日本一シーン、埼玉時代オールタイムの西武ベストオーダーのピンナップをつけること。これはオールドファンに「保存」を意識してもらうためだ。

 そして、もう一つは、あのレジェンドのインタビューを入れること。

 小手指、たこ焼き……、そう、昭和男にとって埼玉移転直後の西武といえば、あの人しかいない……。

 週末から月曜(4月30日)にかけ、西武はまさに「特急」となった。ここまでは期待以上だ。火曜からも下位のオリックス楽天戦だ。もはや、ウチも勝ったも同然……。

 しかし、そう思った直後、1日の試合でオリックスに足をすくわれた。一戦一戦におたおたしても仕方がない。電車の中で走ったって、電車が早く着くわけじゃない。それはそうなのだが……。

 ああ、また心臓に悪い日が続く。いずれにせよ、多少、軌道修正の可能性はあるかもしれないが、来週発売は埼玉西武の現在・過去・未来が詰まった1冊で行く。お楽しみに。

文=井口英規 写真=榎本郁也
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