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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

史上2人目の両リーグ首位打者から7年。内川の大記録達成はもうすぐやってくる

 


「新しい場所で今までどおりにやろうというのは難しいことであって、変化が起こったことを存分に意識しないといけません。そこを十分に理解しないと、満足する結果は残せない」

 2011年、横浜(現DeNA)からソフトバンクへFA移籍した内川聖一がシーズン後に語った言葉だ。

 この年、秋山幸二監督率いるソフトバンクは8年ぶりの日本一に輝いたが、その立役者は間違いなく内川だった。交流戦MVPにクライマックスシリーズMVP、そしてパ・リーグMVPも手に入れた。“変化”に戸惑うことなく真価を発揮。史上2人目の両リーグ首位打者も達成したが、統一球をモノともしない卓越した打撃技術だけではなく、明るいキャラクターでベンチを盛り上げ、チームに一体感をもたらした。

「僕自身が持っている明るさを春季キャンプ初日から出すことによって、内川聖一とはこういう人間だということを分かってもらおう考えていました。みんなもそれを受け入れてくれて正直、何年もチームの一員だったような感覚になっています」と笑っていたが、その裏には強い覚悟もあった。

「2008年に横浜で首位打者に輝いたときは『レギュラーを取る』という気持ちで、ガムシャラにプレーした結果のことでしたから。今年はFAでソフトバンクに移籍して、期待を十分に感じていました。口には出しませんでしたが、『首位打者を取る』という強い決意を持ってシーズンに臨みましたからね」

 交流戦明けの6月23日には右太ももの肉離れで登録抹消され、約1カ月間、戦線離脱。復帰後も「再発したらシーズンが終わる」という恐怖心と戦いながらのプレーが続いたが、腹をくくった男は己に打ち勝った。

「FA移籍は自分で選んだ道でしたから、言い訳をつくりたくなかった。個人成績に関しては自分で責任を持つということです」

 タカのユニフォームを身にまとって、今年で8年目――。ソフトバンクでは通算1054安打、そして横浜では通算945安打。ソフトバンクで放った安打のほうが、すでに横浜時代を上回っているが、FA移籍1年目に強い覚悟で結果を残したからこそ、“大台”へも近づいたと思う。

 2000安打には残り1本。大記録達成の瞬間はもうすぐやってくる。

文=小林光男 写真=BBM
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