週刊ベースボールONLINE

高校野球リポート

投打に非凡な才能。「阿波の金太郎」の再来に期待感が高まる池田の町

 

先輩譲りの馬力型の2年生右腕


徳島・池田高の2年生・白川は投打にわたり、スケール感たっぷりで「阿波の金太郎」の再来との期待が高まっている


 178センチ82キロ。堂々とした体格の池田高・白川恵翔(2年)は、1年秋の県大会2回戦(対徳島科技高)で140キロをマークし「水野二世」と呼ばれ、にわかに周囲が騒がしくなってきた。

 元巨人投手の水野雄仁氏は、池田高で甲子園夏春連覇。3年春はエースで頂点に導き「阿波の金太郎」として、一世を風靡した。白川は、先輩譲りの馬力型のパワーピッチャー。昨年10月から指導する松村高明コーチ(元大洋)も「将来性がある」と、ポテンシャルの高さを認める。変化球はカーブ、スライダー、チェンジアップを投げるが、投球の軸はストレート。白川は「3年生までには150キロを投げたい」と意気込んでいる。

 中学時代は陸上部に駆り出され3年時、ジュニアオリンピックのジャベリックスロー(やり投げの小中学生版)で優勝(71.32メートル)したキャリアを持つ。この強肩は投手にも生かされ「イメージをするならば、昨年のドラフトでヤマハから1位で中日に入団した鈴木博志投手。球質が重いんです」と池田高・井上力監督は明かす。高校進学の際は、徳島の複数の有力校から誘いがあったが、白川は「池田に行きたい。伝統のある池田で野球をしたい」と同校へ進学。自宅から通学できる距離も「練習時間を確保したい」と、学校から徒歩3分のヤマト寮で生活している。

 県大会8強に進出した昨秋は四番・投手を任され、右打席からも非凡な才能を披露。1980年代、水野氏らが甲子園で伝説を残した強打「やまびこ打線」に匹敵するパンチ力がある。

 だが、今年3月、白川は練習試合で左親指付近に死球を受け、春の県大会に出場できなかった。チームは同1回戦で敗退している。井上監督は「無理はさせたくない」と、夏に向けても慎重に調整を進めさせている。とはいえ、26年ぶりの夏の甲子園出場を目指す上で、3年生右腕・土井峻之介との両輪は欠かせない。

「夢はプロ野球選手。その前に池田のユニフォームで甲子園のマウンドで投げたい」

 好きな選手はエンゼルス・大谷翔平で、投打の二刀流としてチームをけん引したい思いが強い。

「プロ? 可能性はあります。けん制、フィールディング、また、精神面を含めて、現段階では詰めないといけない部分は山積していますが、克服できるだけの時間はあります」(井上監督)

 池田の町は「阿波の金太郎」の再来に、期待が高まっている。

文=岡本朋祐 写真=梅原沙織
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング