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レギュラー再奪取は通過点、ロッテ・加藤翔平が狙う“角中超え”

 

一軍復帰でさっそく大暴れ。課題の右打席でもきっちりと結果を残した加藤


 2018年シーズン、ようやく本当の意味でのスタートを切ることができた。ロッテのスイッチヒッター・加藤翔平だ。5月8日に一軍再昇格すると、12日の西武戦(メットライフ)で3本の二塁打を含む4安打4打点。首位を走る獅子を相手に、チームの2試合連続2ケタ得点の立役者となった。

 今季は真の飛躍を期すシーズンだ。オフには背番号が「65」から「10」となり「番号は軽くなりますけど、責任はさらに重くなると思う」と決意を口にしていた。

「九番・右翼」で開幕スタメンに名を連ねたまではよかったが、結果が出ない。6試合を終えて打率.188。わずか開幕2カードで二軍落ちとなる。だが、そこには井口資仁監督の親心もあった。「控えとしてベンチに座る選手ではない」。オープン戦期間中も開幕直前にベテランがトップチームへ合流すると、指揮官は加藤を二軍戦へ送り込み実戦の機会を確保していた。

 ファームではしっかりと振り込んできた。その証明が5回、一死二塁からの左翼フェンス直撃の適時二塁打だ。相手は直前で多和田真三郎からスイッチしたサウスポーの小石博孝。西武ベンチは加藤の左打席ではなく、右打席での勝負を選択してきた。

 昨季はシーズン途中でレギュラーの座をつかみ、ブレークのきっかけをつかんだが、明確な課題があった。対右投手、つまり左打席では打率.280を残したが、対左投手は.120。そもそも対右投手で打席に立つ機会がほとんど与えられなかった。ベンチの信頼を得るには至っていなかったのだ。

 それでも加藤自身は「スイッチヒッターであることにこだわりたい」と口にしていた。だからこそ、右打席でも徹底的に振り込んできた。そして、結果を出した。

 開幕前、こう話していた。「外野の3枠目に滑り込むという意識ではダメ。今、チームで外野の一番の存在は間違いなくカクさん(角中勝也)。カクさんに勝つくらいの気持ちでいかないとダメなんだと思う」。

 奇しくも、ケガで出遅れていた角中もほぼ同じタイミングで一軍の舞台に戻ってきた。レギュラー再奪取は当然。狙うは外野の一番手。リスタートした加藤は、ここからさらに加速していくはずだ。

文=杉浦多夢 写真=大泉謙也
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