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週刊ベースボール60周年記念企画

12球団緊急情報/1962年2月12日号【202】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

復活に燃える小山正明


表紙は左から巨人藤田元司堀本律雄


 今回は『1962年2月12日号』。定価は30円だ。12球団のキャンプが各地で始まり、キャンプ情報が満載の1冊となっている。

 阪神では、小山正明が復活に燃えている。3年連続20勝以上だったのが、61年はまさかの11勝22敗に終わった。球速も落ち、限界説がささやかれていたが、投手育成の名人と言われる藤本定義監督は「原因は35年(60年)の登板過多だ。昨年は考えながら使ったから大丈夫。今年は調子が上がる年だよ」と語っている。確かに60年は362イニングだったが、61年は291イニング3分の1。藤本監督は60年はコーチでスタートし、途中から監督になった。

 少し後日談になる。藤本監督は「30勝投手を出すのは監督の恥」と語り、投手ローテーションを確立させた人物と言われる。62年は小山と村山実に関しては、1年間のローテをほぼ決め、本人たちに伝えていたという伝説がある。
 ただ、何年か前、それを小山に尋ねると、「そんなわけあるかい」と一言で否定された。

 このあたり難しいのだが、62年の小山は352回3分の2と投げまくっている。47試合で先発40と先発投手はあくまで先発で使おうという意図は感じられるが、小山にしたら藤本監督が投手を酷使しなかったという論調には、ひっかかりがあるのだろう。翌年14勝14敗で、オフに移籍となるのだからなおさらだ。

 南海では、右腕の動脈閉そくの手術を受けた杉浦忠がキャンプ初日から参加したが、まだ痛みが残り、ピッチングはまだ先になりそうだ。本人に展望を聞くと、

「人並みに勝ち星を挙げればいい。20勝できるか30勝できるかという質問には答えられない。とにかく投げられるのは間違いない」

 とそっけない。
 また、前所属のホワイトソックスとの契約問題でもめていたスタンカは、南海側が1万5000ドルといわれるトレードマネーを支払うことで解決しそうという記事が載っていた。

 前年15勝21敗で新人王となり、開幕投手候補とも言われた近鉄の徳久利明は、秋季キャンプで左目に打球を受けた後遺症に苦しんでいる。1.2だった視力が0.1に落ち、いまだボールがぼやけて見えるという。キャンプにも遅れて参加となった。

 阪急は、レインズと再契約の方向で動いている。53年盗塁王、54年首位打者となり、メジャーに移籍した内野手だ。セカンドの本屋敷錦吾は「レインズが入るなら僕はいらんでしょ」とすねたようなコメントを残している。61年、メジャー昇格はなかったが、マイナーでは活躍した、と伝えられたレインズ。彼については、この後の号で触れることもあるだろう。

 契約でもめていた巨人・宮本敏雄(日系人選手)は1月24日来日。27日に契約を結び、すぐ多摩川の練習に参加した。

 以下、宣伝。

 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』『阪神編』が好評発売中、『ロッテ編』を鋭意制作中です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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