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週刊ベースボール60周年記念企画

金をかけなきゃ強くならない/週ベ1962年3月5日号【205】

 

今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。

『12球団キャンプの経済学』


表紙は巨人長嶋茂雄


 今回は『1962年3月5日号』。定価は40円だ。毎年恒例の選手写真名鑑号。各球団1ページ33人ずつの掲載となっている。

 この号もキャンプ地からのさまざまなニュースが掲載されているが、その中に『12球団キャンプの経済学』という記事もあった。なかなか興味深いのだが、問題は時代による物価の推移。大抵「大学初任給平均」の比較になるのだが、そもそもそんなものが当時の日本で完ぺきに調べられたはずはないし、家電、農産物、畜産物、洋服、家賃などなど物によってかなり差が出ると思う。

 一応、目安として、週べが現在定価460円(高いですよね、すいません)で当時40円だから、当時の金額の10倍強が今と思って読んでいただければいいのではないか。

 巨人の例を挙げると、キャンプ費用の総額は700万円。宿泊費は1人1泊1500円(3食つき)で、これだけで315万円になる。残りは交通費、新規のバッティングケージ、ボール代などだ。球場使用料は最後の紅白戦を有料にし、相殺していたらしい。

 一番カネを使っていないのは、やはり、いつもと同じ大阪球場、中モズでやっている南海だった。特別にかかるものはボール代と昼飯代くらいという。さすが大阪商人だ。

 連載『マンガのレポート』では、富士製鉄室蘭から入団した大洋の新人・稲川誠が紹介されていた。1年目から12勝を挙げるとともに、あの巨人・王貞治が初めて一本足打法で対戦した投手としても知られる。プロフィルがユニーク。生まれが満州の新京で、育ちが北京は当時の時代環境ながら、高校から山岳部と掛け持ちで野球を始め、趣味は蝶の収集、ハワイアンバンドのギタリストもしていたという。10年以上前だが、ご自宅を取材でうかがったことがある。確かに蝶のコレクションはすごかった。

 佐々木信也の連載対談には、南海・森下整鎮(正夫)が登場。2度のアキレス腱断裂から復活し、不屈の男と言われていた(結局、3度になる)。闘志あふれるプレーが売りだったが、このところの日大などの話を聞くと、微妙だなという個所も多い。

 たとえば、

「相手にダブルプレーされるとき、僕がファーストランナーでセカンドにぶつかっていったりすれば、ダブルプレーは逃れる代わりに自分にも危険性はあるし、森下はナマイキな奴だということで1年に何発かは頭を狙われますよ、投手に」

 という個所がある。森下は別にそれが嫌というわけではなく、それが年俸の評価に入っていなかったことに不満があったらしい。まあ、もちろん無防備の相手を背中から狙うわけではないが。

 以下、宣伝。

 週べ60年記念シリーズ『巨人編』『日本ハム編』『阪神編』が好評発売中、『ロッテ編』ももうすぐ完成です。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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