走攻守三拍子そろった選手で、打撃も内角のさばき方が非常にうまい
今年はパ・リーグが混戦模様です。春先から独走していた
西武の勢いに陰りが出てきたことに加え、絶対的本命の
ソフトバンクも故障者が続出して波に乗り切れません。
その中で要注目がロッテです。今季初の4連勝。まだ借金は2ありますが、昨年最下位からの巻き返しを狙う今年は目指す野球が明確です。機動力を前面に出して
荻野貴司選手をリードオフマンに固定。胸椎圧迫骨折から復帰した
角中勝也選手が四番に座り、打線に軸ができました。さらなる逆襲へ、キーマンになるのが三番・中村奨吾選手ではないでしょうか。
今季は打率.322、2本塁打、13盗塁。得点圏打率.368と好機でも結果を出しています。この活躍ぶりに驚きはありません。実は彼がプロ2年目のとき、ともに沖縄で自主トレを行いました。まだレギュラーをつかんでいない時期でしたが、その身体能力は目を見張るものがありました。走攻守三拍子そろった選手で、打撃も内角のさばき方が非常にうまい。これは教えられてできる技術ではありません。
昨季は開幕スタメンに起用されましたが、結果を残せず5月に二軍降格。今季は
井口資仁監督から「30本塁打、30盗塁を狙える」と期待を掛けられて意気込みが違います。春先から結果を出して気持ちにゆとりがあるのも好調の要因だと思います。
打撃の微調整も功を奏しています。本人に話を聞いたとき、「昨年は足を上げながら打っている感じでしたが今年は違います」と話していました。足を上げてきっちりタメを作り、自分の間合いでタイミングが取れているのでしょう。昨年のように上体が前に突っ込むこともなくなり、外角のボール球になるスライダーを追いかけて空振りをすることが減りました。もともと内角をうまくさばくことができるため、外角の見極めがきっちりできれば打率も上がります。僕は首位打者も獲れる可能性が十分にある選手と思います。
中村選手の活躍は他の選手の刺激になります。五番以降の
鈴木大地選手、
清田育宏選手が本来の状態を取り戻してクリーンアップが固まれば、攻撃の選択肢が増えて得点力がグッと上がります。実績十分の
石川歩、
涌井秀章両投手が白星を積み重ねれば、ロッテが混戦のパ・リーグで「台風の目」になる予感がします。
記事提供=ココカラネクスト編集部 平尾類 ココカラネクスト編集部 ●林昌範(はやし・まさのり)
1983年9月19日、千葉県船橋市生まれの34歳。市立船橋高から2002年ドラフト7巡目で
巨人入団。06年には自身最多の62試合に登板するなど主に救援で活躍。08年オフにトレードで
日本ハムへ移籍した。11年に退団し、12年からDeNAに加入。昨オフに戦力外通告を受けて現役引退した。通算成績は421試合で22勝26敗22セーブ99ホールド、防御率3.49。186センチ、80キロ。左投左打。家族はフリーアナウンサーの京子夫人と1男1女。