今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 ドジャースから学んだダウンスイング
今回は『1962年4月2日号』。定価は40円だ。グラビアは、巻頭は
巨人・
別所毅彦コーチの引退試合。3月20日の西鉄戦(後楽園)だった。この試合、すでに引退し、監督となった
川上哲治も代打に立った(川上は58年限りで現役を引退したが、引退試合はしていない)。
巨人については、61年キャンプ、ドジャースから学んだというダウンスイングの真意について、前近鉄監督、元巨人の
千葉茂が評論している。
千葉はダウンスイングは「上から大根切りで振り下ろすくらいの感覚でちょうど水平に振れる」という解釈だった。確かに当時の連続写真を見ると、一度、バットを寝かせてからのスイングが多いが、投手側の脇が空き、必ずしもいいスイングには見えない。
これを矯正し、最短距離でボールをとらえようとするなら、ダウンスイングの意識を持ったほうがグリップが高くなり、よりコンパクトになる。千葉の意見はさすが正しいと思うが、いかがか。ただ、ジャイアンツの打者の一部は、地面を耕すようなダウンスイングの意識が強く、のびやかなスイングができなくなっていたのは確かだったようだ。
12球団週間報告『巨人編』では、新人・
柴田勲に川上監督がスイッチを指示する決定的瞬間があった。打撃練習で右打ちをしていた柴田に、突然「左で打て」と怒鳴ったのだ。ちなみにまだ、柴田は投手で、あくまで練習法の指示。ただ、川上ははっきりこう言っている。
「お前は左投手のときは右で打つんだ。右投手のときは左。いいな、その練習法をいつも忘れずにやれよ」
打撃の神様のひらめきだろう。
東映のページでは、17歳の新人・
尾崎行雄が、なぜオープン戦で打たれているかについての本人の言葉が載っていた。それは
シュートボールを投げていないからという。
「怖くて投げられまへん。僕が投げると胸からあごにかけてよう当たるから怖いです。オープン戦でケガをさせたら気の毒ですから。でも、公式戦になったら投げます。それまではケガ人を出さんよう、打たれても我慢します」
かなりふてぶてしい。
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日本ハム編』『
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ロッテ編』は28日発売予定です。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM