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先発投手はチームの勝敗の責任をどこまで背負うべきか

 

5月25日の阪神戦で8回4安打1失点完投と好投も今季3敗目を喫した巨人菅野智之


 心が揺れ動くのを感じた。

 5月25日の阪神戦(甲子園)で先発のマウンドに立った菅野智之は、8回122球4安打1失点完投と好投を見せたが、打線が阪神先発・岩貞祐太から4回までに6安打を放ちながらも得点に結びつけることができず、完封負け。菅野は今季3敗目を喫した。

「いいピッチングだったと言って片づけたらそこまで。一発打たれて1対0で負けたら……。表現は難しいですが、そこで全部自分を責めたらこの先、苦しくなってしまう。0点に抑えれば負けないかもしれないですが、いろいろ考えさせられるゲームでした」

 この日は5回一死まで打者13人をパーフェクトに封じ込める完ぺきな立ち上がりを見せていた。次打者の糸井嘉男に2ボールから甘く入った137キロのカットボールを右翼席へ運ばれたが、許した点はわずかこの1点だけ。6回無死三塁からのピンチも、7回一死二塁からのピンチも、ギアを上げ、要所では三振を奪って(この日は10奪三振)最少失点で切り抜け、勝利を目指したのだが……。

「先発投手がチームの勝敗の責任をどこまで背負うべきか」という問題はとても難しく、菅野自身も2013年のプロ入りから6年のシーズンを過ごす中で、「先発投手としての役割」を、ある面ではドライに考えるようになったという。

 つまりそれは週に1度のローテーションを1シーズン守ること(コンディションを整えてそのマウンドに立つこと)であり、いざ試合が始まれば「試合を作る」ことである。自身のパフォーマンス以外の影響を受けやすい勝利数ではなく、QSや防御率、完投数、完封数にこだわりを持つのもそのためで、試合後のコメントからもその考えの一端を読み取ることができる。

 とはいえ一方で、7回二死一塁の打席でファウルで粘って食らいつき、何とか一番の坂本勇人につなごう(あるいは自分のバットで決めようとしていたのかも?)という姿勢。その後、空振り三振となり、バットを叩きつけて悔しがった姿は、“負けず嫌い”以外のなにものでもなかった。試合後のコメントも、実はその端々から無念がにじむ。

 もちろん、ホームラン1本での0対1の敗戦の責任が菅野にあるわけではない。しかし、やられてそのままで終える右腕でもない。次回登板、そのリアクションが楽しみだ。

文=坂本 匠 写真=BBM
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