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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

広島をVに導く“新井さん”が持つミラクルパワー

 

新井がチャンスで打席に立つと、それまで以上の大声援が球場に響き渡る


 背番号25のスタメンを告げる場内アナウンスとオーロラビジョン。その瞬間、割れんばかりの大拍手と大歓声がマツダ広島を包んだ。5月11日の阪神戦、“新井さん”が大勢のカープファンの前に帰ってきた。

「五番・一塁」で出場した新井貴浩はさっそく第2打席で左中間を破る適時二塁打を放ち、持ち前の勝負強さを発揮したのだが、この日はほかの選手も新井の復帰を祝うかのようなお祭り騒ぎ。菊池涼介バティスタから1試合2度の2者連続アーチが飛び出すと、石原慶幸が通算1000安打を達成し本塁打を含む猛打賞。チームは13安打14得点で大勝を飾った。

 新井さんがいる――。それだけで選手たちもファンもボルテージが上がる。

「何か起こしてくれる」

 思えば、2016年8月7日の巨人戦(マツダ広島)。それまで7連勝中の巨人に対し、広島は4連敗中だった。負ければ3.5となるゲーム差以上に、Vへの流れが巨人に大きく傾きかねない重要な一戦で、9回二死一塁から新井は左越えへサヨナラ二塁打を放った。ここからチームは25年ぶりのリーグ優勝へ、一気に加速した。

 2017年7月7日のヤクルト戦(神宮)では9回二死一、三塁、代打で打席に立つと逆転の3ラン。新井までつないだ仲間の思い、大声援を送るファンの思いに、最高の形で応えた。この日の逆転劇はファンの間では“七夕の奇跡”として語り継がれている。

「ファンの印象に残るヒット、ホームランを打ちたい」

 これは新井の今季の目標だ。どんなときもファンの笑顔のために――。だから新井はファンに愛され、ファンは新井が起こすミラクルを心待ちにしている。

 5月23日の巨人戦(ひたちなか)の1回に今季第1号を放った。石井琢朗(現ヤクルト打撃コーチ)の41歳0カ月を更新する球団最年長記録(41歳3カ月)となる一発。また、ルーキーイヤーの1999年から20年連続の本塁打となった。この日も広島打線は大爆発。田中広輔が先頭打者弾を含む2本塁打を放つなど、チームは11安打9得点。新井自身も5打点の活躍で、大雨の中で大声援を送ったファンを喜ばせた。
 
 しかし、これはミラクルにあらず。ミラクルへの幕開け、といったところか。新井さん、今季も衝撃的な一打を楽しみにしています。

文=菅原梨恵 写真=BBM
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