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プロ野球仰天伝説

入団最初の練習で短距離走を勝つまで続けた吉原正喜/プロ野球仰天伝説159

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

人一倍の負けず嫌い



 熊本工でバッテリーを組んでいた川上哲治とともに1938年、巨人入りして1年目からマスクをかぶった吉原正喜。陽気な性格でチームの先輩にかわいがられたが、いざ試合となれば目の色が変わる。

 ファウルを追ってコンクリートの壁に激突した際、頭から血を流し、骨が見えながらでも平気な顔でプレーを続けたという。川上はそのとき「コンクリートに血のついた頭皮と髪の毛がへばりついているのを見て、ゾッとした」と振り返る。

 人一倍の負けず嫌いが発揮されたのが、巨人での初練習だった。もともと足の速さには自信があったが、藤本定義監督に言われ、チームの足自慢である平山菊二呉昌征白石敏男と50メートル走。3位になると、すかさず「もう一丁」。次は呉に次ぐ2位だったが、さらに「もう一丁」。今度は呉との一騎打ちとなったが、向こうが吉原の負けん気にあきれていたこともあり、ついに勝った。

 40年には捕手ながら30盗塁。41年限りで応召し、44年ビルマで戦死した。

写真=BBM
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