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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

広島・岡田が「活躍2年目のジンクス」を乗り越え活躍できる理由

 

3年目の今季、昨年に引き続き、先発ローテでチームをけん引する岡田


 今季、開幕から先発ローテーションを守り、5月30日現在、5勝1敗、防御率3.39と安定した成績を挙げている広島岡田明丈投手。同日現在、ハーラーダービーでトップタイの7勝を挙げている大瀬良大地投手と並んで、今季のカープ投手陣をけん引する存在だ。

 岡田投手には、週刊ベースボール6月4日号でインタビューにご登場いただき、今季の好調の秘密などなど、いろいろと語っていただいたが、中でも興味深かったのが、プレートの踏み位置の変化と、右打者、左打者への対戦成績の関係を明かしてくれた話だ。

 プロ1年目、岡田投手は、4勝3敗。対左打者と対右打者の打率は対照的で、対左打者を被打率.222と抑え込む一方、右打者には被打率.299と打ち込まれていた。

 2年目、岡田投手は、左打者対策として、前年まで真ん中辺りだったプレートの踏み位置を、三塁側の端に変えで1年間を通したという。この年、岡田投手は、12勝5敗、防御率4.00。面白いのは、対右打者の被打率が.217と大きく改善、反対に左打者には被打率.307と、前年と入れ替わってしまったところだ。もちろん、それがすべてではないだろうが、数十センチ踏み位置を変えただけで、てきめんに成績が入れ替わってしまうのがすごい。

 本人の分析によると、左打者に打たれだしたのは「角度はついたけど、厳しくない球になったんじゃないですかね」ということだ。三塁側を踏むことで横の角度がつけば、左打者にはそれだけ強烈に食い込んでくるボールになるのでは、と思うのは素人考えで、角度がついたことで、かえって左打者には脅威でないボールになったというのだ。たぶん、アンダーハンドやサイドハンドのピッチャーのボールは右打者より左打者のほうが見やすい、というのと同じことなのだろう。基本的に、打者は遠ざかっていくものには反応しにくいが、近づいてくるものには比較的反応しやすい、というのは、よく言われることだ。

 その伝で行くと、三塁側を踏むことで右打者を抑えることができたのは、右打者への外角球の角度がついて、遠ざかっていくボールの威力が増したからか、と思いきや、岡田投手によると、右打者のインコースへのボールがよく効くようになったことが大きいようなのだ。考えてみれば、これは先ほどの左打者に打たれた話の裏返しで、右打者にとって近づいてくる軌道のボールが、角度がつきすぎずに来るようになり、右打者にとってより厄介なボールになった、ということなのではないか。

 さて、そして今年。今度は左打者対策として、岡田投手は、1年目に近いところに踏み位置を戻した。その結果、対左打者の被打率は.206に。で、右打者にはまた1年目のように打たれているのかと言えばさにあらず。なんと今年は右打者も.204に抑えているのだ。

 これについては、「2年目に三塁側からインコースに投げる感覚を経験したのが残っているので、真ん中辺に戻してもいい感覚で投げられています」と岡田投手は言う。この辺はもう、プロならではの話で、筆者のようなプレーの素人にはなかなかはっきりとは分からないところだが、おそらくは、2年目の、「狭い幅の中で、角度をつけすぎないで右打者に食い込んでいく」というボールを投げる感覚を身につけたことで、威力のある「右打者に食い込むボール」を投げ続けることができているのだろう。

「プロは3年続けて実績を残すことができて初めて一人前」とはよく言われる言葉だが、そのための最初の関門となるのが、よくある「活躍2年目のジンクス」だ。2年目に12勝を挙げた岡田投手にとっては、今季がそれに見舞われる可能性のある年。そこを乗り越えて活躍をしている裏には、こういった、ちゃんとした理由があり、それを支える工夫と努力があったのだ。

文=藤本泰祐 写真=BBM

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