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早大の主将兼エース・小島和哉の真価が問われる早慶戦

 

早大の主将兼エース・小島は現役通算17勝。東京六大学のキャプテンナンバーである背番号10を背負って、ワセダのために腕を振る


 早大の2018年のスローガンは『捲土重来〜逆襲の早稲田〜』。昨秋、70年ぶりのリーグ戦最下位(東大と5位タイ)に沈んだのを受け、今春の目標として設定した合言葉である。

「言葉」だけではなく、しっかりと「行動」に移した。新人監督の安田健人(4年・世田谷学園高)とマネジャーの高橋朋玄(4年・磐城高)が“改革”の目玉として、新たな組織編成に着手。寮生活、グラウンドの動きから、すべての見直しを実行した。

「首脳陣」(5人)の川口浩部長を頂点として、部員間では「運営チーム」(11人)を軸に、技術向上を図る「競技力・戦略強化チーム」(14人)に、管理部門の「組織・環境整備チーム」(8人)に分け、担当を細分化した。

「運営チーム」のトップとして、野球部をけん引しているのが主将・小島和哉(4年・浦和学院高)である。下級生の声にも耳を傾け、風通しの良い雰囲気づくりに尽力。負担が多い投手というポジションながら、早大・高橋広監督と選手のパイプ役の役割も担った。

 取り組み自体は円滑に進んだものの、そのまま結果に直結するほど、勝負の世界は甘くない。今春、V奪回を果たすことはできなかった。プロであれば「結果がすべて」の一言で片づけられるかもしれないが、学生野球はその過程も重要。「即効性」を求めたいが、敗戦から学ぶことも多い。4年生を中心に立ち上がったワセダの斬新なイノベーションは間違っていない。次の世代へとつなげていくことのほうが大事であると思う。とにかく今は、前を信じで進んでほしいと願うばかりだ。

 優勝は逃したが、大きな前進があった。開幕4カード目の法大戦、小島は1回戦で1失点完投勝利(5対1)。早大は2回戦を落とし、3回戦では小島が1失点完投勝利(2対1)で、勝ち点奪取(2勝先勝)の原動力となった。

 ただの「1勝」ではなかった。高橋監督は15年春から母校・早大を率いて以来、言い続けてきたことがある。

「私が就任以降、1、3回戦で勝った投手はいない。早稲田のエースの基本的スタンスとしては1、3回戦で勝てる投手」

 指揮官が熱望した「エース・小島」がここに誕生した。春のシーズンはまだ終わっていない。6月2日から第8週、伝統の早慶戦を控えている。すでに第7週の時点で永遠のライバル・慶大が昨秋に続く、2季連続での優勝を決めている。しかし、昔から「早慶戦は別物」という歴代先輩からの言い伝えがある。優勝争いとは“無関係”。あくまで、早大と慶大による「対抗戦」なのである。

 そこで、早慶戦では小島の真価が問われる。もちろん、2連勝で勝ち点を奪うことがベストだが、展開によっては3回戦の可能性もある。東京六大学のキャプテンナンバー10を背負う責任とプライドを、神宮のマウンドで見せてほしい。

 早慶戦後、その結果に関わらず、慶大の歓喜の胴上げが控える。早大としては何としても勝ち点を奪い、意地を見せる舞台としたいところ。エースとしてワセダをけん引する小島の背中が必ず、秋の『捲土重来〜逆襲の早稲田〜』へとつながる。

文=岡本朋祐 写真=川口洋邦
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