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プロ野球年代別オールスター

新時代のプロ野球を担う「2010年代」/年代別オールスター

 

優勝への貢献度、それを凌駕する実績、そしてインパクトを踏まえて、プロ野球の全選手を主に活躍した年代ごとにセレクト。超豪華オールスターをお届けする。

楽天の日本一バッテリー



 クライマックスシリーズ導入4年目にして、レギュラーシーズン3位から日本一にまで勝ち上がったロッテ“史上最大の下剋上”で幕を開けた2010年代。投手分業制も完全に定着し、スターターが完投、完封する姿が珍しくなった一方で、クローザーには短いイニングの絶対的な安定感が求められ、セットアッパーの地位も確固たるものに。選手が少なかった古い時代のものとは一線を画す“二刀流”大谷翔平の出現もあった。現在進行形なので分かりづらいが、それまでとは違った野球が着々と形作られているようにも思える。

 ここでは、現在のオールスターで採用されているファン投票のポジション別に、年代ごとにオールスターを選定して、10年代からプロ野球史をさかのぼってみたい。

 10年代は迎えた18年シーズンを含めて残すところ2シーズン。まだまだ顔ぶれが変わる可能性を秘めているが、17年までの実績をベースにメンバーを選んでいる。

【2010年代オールスター】
先発 田中将大(楽天)

中継ぎ 浅尾拓也中日

抑え サファテソフトバンク

捕手 嶋基宏(楽天)

一塁手 内川聖一(ソフトバンク)

二塁手 山田哲人ヤクルト

三塁手 中村剛也西武

遊撃手 坂本勇人巨人

外野手 バレンティン(ヤクルト)
    柳田悠岐(ソフトバンク)
    丸佳浩広島

指名打者 大谷翔平(日本ハム

 エースはヤンキースでも活躍する田中将大。10年代は4シーズンしか在籍していないものの、13年には無傷の24連勝という空前絶後の快挙を成し遂げて楽天の初優勝、日本一の立役者となった。田中の投手タイトルも10年代に集中していることもあり、メジャーでの結果を加味するまでもなく、10年代のエースと言えるだろう。

 スターターでは、左腕の和田毅(ソフトバンク)が10年、同じく左腕の吉川光夫(日本ハム)が12年、右腕の菅野智之(巨人)と金子千尋オリックス)が14年に、それぞれMVPに選ばれていて、このタイプも多彩な5投手で先発ローテーションを回せば長期戦も楽しめそうだ。

 近年は故障に苦しんでいるが、セットアッパーは17年に通算200ホールドに到達した浅尾拓也。11年にセットアッパー初の、そして17年までで唯一のMVPに選ばれた右腕だ。通算ホールドで浅尾を抜き、トップを争っているのが2人の左腕で、育成出身選手として初の新人王となった山口鉄也(巨人)と、16年に最優秀中継ぎ投手にもなった宮西尚生(日本ハム)。セットアッパーに特化した好投手が豊富なのも10年代の大きな特徴だ。10年代でクローザー唯一のMVP経験者がサファテだ。17年には54セーブでプロ野球記録を更新。ここでも絶対的な存在として9回のマウンドに立ちはだかる。

 10年代を一貫してチームの正捕手を譲らなかったのは嶋基宏と炭谷銀仁朗(西武)の2人だけ。阿部慎之助(巨人)も捕手として12年にMVPとなっているが、その後は一塁手としてプレーしている。ここでは田中とともに楽天を日本一に導いた嶋を司令塔に置いた。控えに炭谷がいる安心感も大きい。ともに10年代を代表する捕手と言える存在。パ・リーグを支える名捕手の二枚看板だ。

外野にMVPがズラリ


ソフトバンク・柳田悠岐


 一塁にも右の強打者が重なる。打点王2度の中田翔(日本ハム)もいいが、ここでは11年に首位打者となってMVPに選ばれた内川聖一を据えた。内川に肩を並べる存在なのが15年に25年ぶりのリーグ優勝を支えてMVPとなり、11年の選手会長としての奔走も印象に残る新井貴浩(広島)だ。

 二遊間では名手の菊池涼介(広島)、17年に最高出塁率と盗塁王に輝いた田中広輔(広島)のコンビも勢いでは負けていないが、二塁には15年にトリプルスリーを達成してヤクルト14年ぶりのリーグ優勝に貢献した山田哲人、遊撃には16年の首位打者でもある坂本勇人を並べた。浅村栄斗(西武)、中島卓也(日本ハム)のパ・リーグ勢による二遊間もいい。浅村は13年の打点王、中島は15年の盗塁王だ。

 10年代に本塁打王4度、うち打撃2冠2度の中村剛也は三塁を譲らない。日本ハム時代の10年に打点王となった小谷野栄一(オリックス)、17年に首位打者となった宮崎敏郎DeNA)も定位置を狙うが、優勝への貢献度で圧倒しているのが松田宣浩(ソフトバンク)。ムードメーカーとしての存在感も抜群だ。

 外野陣はMVP経験者から選んだ。60本塁打でプロ野球記録を更新した13年まで3年連続で本塁打王となったバレンティン、山田と並んでトリプルスリーを達成して15年のMVPになった柳田悠岐、17年に広島の連覇を中心選手として支えた丸佳浩の3人。ほかにもシーズン安打のプロ野球記録を更新した秋山翔吾(西武)、侍ジャパンの四番打者も担った筒香嘉智(DeNA)、“神ってる”鈴木誠也(広島)、11年に首位打者となった長野久義(巨人)、オリックス時代の14年に首位打者となった糸井嘉男阪神)ら好打者がいて、状況によって顔ぶれも変わってきそうだ。

 指名打者の大谷を投手として計算すれば先発ローテーションは充実するから、そこへ好打の外野陣から指名打者を選んでもいいだろう。指名打者では17年に本塁打王と打点王の打撃2冠に輝いたデスパイネ(ソフトバンク)もいる。もちろん、エンゼルスでも“2
way player”を貫く大谷のままでもいい。

 役割分担が明確となったことでバイプレーヤーにも光が当たり、選手が実力を発揮しやすい時代になったとも言える。過去の名選手がオールスターに並ぶ年代と激突したら、どんな名勝負になるのだろうか。

写真=BBM
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