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プロ野球デキゴロジー/6月11日

巨人・クロマティが中日・宮下昌己を殴打!(1987年6月11日)

 

クロマティのパンチは宮下の顔面をまともにとらえた



 プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は6月11日だ。

 1987年、セ・リーグ前半戦は広島巨人中日の三つ巴の戦いが続き、特に王貞治監督の巨人と、星野仙一新監督が就任した中日の戦いは、打倒巨人に燃える星野監督の言動もあって、試合を重ねるごとに激しさを増していた。

 6月11日、熊本県藤崎台球場で、この両者が対戦。中日は先発の杉本正が4回で4点を取られ、5回からは二番手の宮下昌己にスイッチ。150キロ台の快速球が武器のセットアッパーだ。対して巨人は2年目の桑田真澄が好投を見せ、竜打線はゼロ行進が続いていた。

 宮下は5、6回と2イニングを無失点に抑え、迎えた3イニング目の7回裏、巨人の攻撃だった。

 このとき宮下は、この回を終わったら自分は代打で交代と予想し、「何とかしなきゃ」と思ったという。
「負けは負けでも、いかに意味のある負け方にするかですね」
 相手の桑田が内角を好きなように攻めるのを見て、内心、「なめるな!」と思っていたこともある。二死から打席に立ったのは。四番のクロマティ。打席にかぶるように構えながら、内角に厳しい球を投げると激しく威かくしてきた男だ。

 味方投手が委縮していたのは分かっていた。「怒らせてもいい。厳しいコースで行こう」と決めた。

 宮下の投じた球は、クロマティの背中に当たる。ここでクロマティはマウンドにダッシュし、右のパンチを顔面に叩き込んだ。
 後日、宮下はこう振り返る。
「少しは向かってくるとは思いましたが、途中で一塁に行くんだろうと。いままでそうだったんで。そしたらどんどん近づいてきて、『やばい、どうしよう』と(笑)。でも、まあ頬ですからね。ある意味、受け身は取れてました。あの時代の野球部の人間は殴られなれてますからね」

 ここから両軍入り乱れての乱闘。宮下は全治10日のケガ。退場となったクロマティには謹慎7日、罰金30万円が言い渡された。
 なお、その後、両者は「和解」。テレビ番組でも共演を果たしている。


写真=BBM


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