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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

実は冷静? 広島打線のムードメーカー・野間が止まらない

 

打撃好調の広島野間峻祥


 広島の成長株・野間峻祥外野手の勢いが止まらない。6月11日現在、規定打席には到達していないものの、打率.359(出塁率.414)、3本塁打、19打点。5月19日のヤクルト戦(マツダ広島)で逆転満塁弾を放てば、6月6日の日本ハム戦(マツダ広島)では1点を追う9回裏、一死二、三塁から逆転サヨナラ打、といった具合だ。

 昨年までは、代走、守備固めという形での出場が多かったが、今年は打撃においても、持てる力をゲームの中で発揮できるようになってきた。今季もスタートは昨年までと同様の立場だったが、外野のレギュラーの丸佳浩が、4月下旬から故障で一時戦列を離れたところで、センターとして出場機会をつかみ、「丸さんが帰ってきても出し続けてもらえるように」という気持ちで取り組みながらヒットを連発、交流戦から丸が復帰した後も、今度はレフトに回ってレギュラーの座をキープし続けている。

 さてこの野間、その存在価値はプレーヤーとしてのものだけにはとどまらないものがある。実は、チームのムードメーカーでもあるのだ。

 その特質は、カープきっての「イジられキャラ」というところにある。以前から鈴木誠也あたりにはイジられていたようだが、今では、新井貴浩から鈴木から、先輩皆からイジられている。あ、いや、鈴木は実はプロのキャリアでは先輩だが、年齢的には野間より年下だ。そういうところにもイジられているのがまた野間の持ち味ともいえようか。

 今季、長らくファームで過ごしていた新井は、一軍に合流する際、「新聞で野間選手の高打率を見るたびに、下痢が止まりません」と、まずは野間の活躍をネタにチームを和ませた。さらに、野間の逆転満塁弾の5月19日には、「すごいパワーですね」と目を丸くしながら、「何とか野間さんにつなごうと思いました」と報道陣を笑わせた。

 鈴木のほうは、現在はお立ち台でのネタ振り担当といったところ。逆転満塁弾の日には、お立ち台の裏から近づき、ウォーター・シャワーをバケツで思い切りぶっかけた。当初、お立ち台でお約束の「最高で〜す!」を叫んでいた野間も、スパイクまでびしょびしょになり、思わず「最低です……」とやって、ファンも爆笑だ。そしてサヨナラ打の6月6日。またもバケツ片手にお立ち台のボードの裏から近づく鈴木。しかし今度は、この日、プロ初勝利で並んでお立ち台に立っていた藤井皓哉のほうにザバーッとやって、待ち構えていた野間には一滴もなし。野間は仕方なくペットボトルの水を自分でショボショボと頭からかけ、またまたファンは大爆笑だった。

 まあとにかくそんな具合で、野間が活躍すれば、ベンチは明るく活気づく。交流戦に入ってからも、カープ打線の好調が続いているのには、そういう要素もあるのかもしれない。

 ただ、本人の名誉のためにも言っておくと、落ち着いて話を聞けば、意外に出てくる言葉は慎重なところもあり、別に根っからの「お調子者」キャラではないことが分かる。今の好調に「どんどんこの調子で行きます!」的なことを言うのかと思えばさにあらず。「とにかく出し続けてもらえるように頑張ります」というセリフが先に出るのは、調子に乗ることなく冷静な状況分析ができている証であり、6月6日のお立ち台で3回繰り返した「とにかく必死です!」は、一見ギャグで言ったようだが、けっこう本音でもあるのだろう。

 ともあれ、当たりがよくなくても内野安打を稼げる足もあり、まだまだ打率もキープできそう。以前に「新井さんには、打率3割を切ったらイジらない、と言われているので、イジってもらえるように頑張ります」と語っていた野間だが、少なくとも当分は、イジられなくなる心配? はなさそうだ。

文=藤本泰祐 写真=BBM

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