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15敗した松坂大輔は「自分で責任を背負えた」と言った

 


 7試合に登板して3勝3敗、防御率2.41――。

 華麗なる復活劇を遂げている松坂大輔(中日)。オールスターのファン投票でもセ・リーグ投手部門で2位・菅野智之巨人)に大差をつけてトップを走るなど、ファンの支持も集めている。順調に行けば今週末、古巣の西武戦に先発予定。メットライフドームのマウンドに立ち、強力西武打線にどのようなピッチングを見せるか、再び大きな注目を集めそうだ。

 さて、本日発売の『週刊ベースボール6月25日号』では「松坂世代」を特集。世代の顔である松坂のインタビューが掲載されているが、誌面にはカットボールを駆使する投球スタイルに「力投派から技巧派に変わったという意識はありません」や復活勝利のウィニングボールを見て「喜びだけがよみがえってくる感じではないですね」と“らしい”言葉が並んでいる。

 思えば、これまでの野球人生で数々の松坂語録を生み出してきた。西武での新人時代、1999年3月、巨人とのオープン戦で先発も4回9安打8失点で「そりゃあ悔しい。当たり前です。いつかリベンジしたいです」。同じく99年5月、当時オリックスに在籍していたイチローとの初対決で3三振を奪い、「いまいち自信が持てなかったのが、今日で自信から確信に変わりました」。2006年12月、ポスティング制度でMLBレッドソックスへ移籍が決まり、入団会見で「僕はもともと夢という言葉が好きではないです。僕はずっとここで投げられると信じてきて、目標にしてやってきた」。

 時代の寵児となった男が紡ぎだしていた言葉だからこそ、ファンの胸にも突き刺さったのだろう。そのなかでも個人的に松坂らしいと思ったのは「15敗という責任を自分で背負えたわけですからね」だ。

『週刊ベースボール2002年1月7.14日号』のインタビューで松坂が口にした一節。01年、松坂は33試合に登板して15勝15敗、防御率3.60という成績を残していた。投球回は240回1/3と今では考えられない数字。最多勝投手にして、最多敗投手、勝率5割での最多勝獲得は史上3人目の最低勝率で、先発として勝ち負け合わせた数字が30を越えたのは、85年の佐藤義則(当時の阪急で21勝11敗)以来、16年ぶりのことだったが、その結果を受けての言葉だった。

「責任を取れたから良かったというわけではないですけど、ほかの人に負けがいかなくて良かったという気持ちはあります。早い回でKOされたこともありましたけど、僕は最後まで一人で投げて、最後まで勝つことにこだわってきた……その結果の15敗だと思っています」

 威風堂々と最後まで投げ切る姿が魅力的だったが、きっと本人もできることなら今でも自身で決着をつけるまでマウンドに立っていたいと思っているのだろう。今季は4月19日の阪神戦(ナゴヤドーム)で7回まで投げた。完投する松坂が、この先、見られるか――。

文=小林光男 写真=榎本郁也
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