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プロ野球仰天伝説

平松政次の“カミソリシュート”は右足親指のタコが秘密/プロ野球仰天伝説173

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

長嶋を苦しめた武器


大洋・平松政次


 通算51勝を挙げ、巨人キラーとして名を馳せた大洋の平松政次の全盛期は“カミソリシュート”と言われる武器があった。

 縫い目には指はかけず、腕は多少遅らせてストレートと同様に思い切り振る。そこから放たれたボールは150キロの高スピードで、ベース上で大きく真横に曲がり、カミソリのようにキレ味鋭く右打者の胸元をえぐっていった。

 特に巨人の長嶋茂雄を大いに苦しめたボールで、1972年から25打席連続無安打と完全に攻略。「長嶋さんにシュートをまともに打たれた記憶はない。8本ホームランを打たれたけど、全部真っすぐかカーブだろうね」と平松は言う。

 さらに、平松の右足親指の裏側にすごい“タコ”ができていた。マメが固くなってタコのようになってしまうのだ。それだけ蹴る力があったからである。“カミソリシュート”の秘密はここにあった。

「晩年になるとステップの幅も狭くなり、タコができなくなった。それだけエネルギーがなくなってきたのでしょうね。若さってのは、どうあがいても取り戻せないものですよ」

 平松の述懐である。

写真=BBM
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