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プロ野球仰天伝説

門田博光との対戦でわざと3ボール0ストライクにした東尾修/プロ野球仰天伝説175

 

長いプロ野球の歴史の中で、数えきれない伝説が紡がれた。その一つひとつが、野球という国民的スポーツの面白さを倍増させたのは間違いない。野球ファンを“仰天”させた伝説。その数々を紹介していこう。

独特の投球術を駆使して



 通算251勝をマークした東尾修(西武)と通算567本塁打を放った門田博光(南海ほか)。ともに球界を代表する選手で、1970年代から80年代、パ・リーグでしのぎを削った2人だ。

 独特の投球術を駆使する東尾は門田と対戦するとき、意識的にカウント3ボール0ストライクにすることもあったという。例えば点差が競って二死無走者で打席に門田と迎えたときだ。「ホームランを狙ってきているな」とピンときたら、まともに勝負にいかない。

 意識してボールばかり投げて3ボール0ストライクにする。「勝負なんかしない。四球にしたっていい」という雰囲気を相手に感じさせるのだ。いくら門田でもそのカウントから打ってこないから、次はストライクが取りやすい。そして、3ボール1ストライクから“本気”の勝負に出る。

 このカウントになると打者の頭の中には「歩かせてくるんじゃないか。まともに勝負しないな」という思いがチラッと浮かぶ。しかし、本心は打ちたい。「ここは一発長打」とう野心がある。その打者心理を利用する。

 ストライクのような、ボールのような“微妙なボール”に手を出させるように仕向けるのだ。少々のボール球でもバットを振り回してくる、そういうときのピッチングは快感だったという。ストライクを先行させることだけが投球術ではないのだ。

 また、アキレス腱を痛めたあとの門田に四球を与えても、投手にとってあまり痛くもなかった。次の打者にヒットを打たれても一、二塁。そこからもう1本打たれても、門田の足ではホームへかえって来ることは難しかったからだ。そういう安心感もあったから“カウント3ボール0ストライクからの勝負”も楽しめたのかもしれない。

写真=BBM

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週刊ベースボール編集部

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