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林昌範コラム

混戦のセパ。各球団の命運を握る意外な「ジョーカー」とは?/林昌範コラム

 

縁の下の力持ちとなる救援陣の「何でも屋」は非常にハードな役割


広島アドゥワ誠(写真=BBM)


 セ、パともに混戦の戦いが続いています。リーグ戦が再開して7月13日の球宴までどのように戦うか。僕は縁の下の力持ちとなる救援陣の「何でも屋」がカギを握っていると思います。

 救援陣と言っても、試合を締めくくる抑えや勝ち試合で登板するセットアッパーなどいろいろな役割があります。その中で目立たないですが重要なのがリードされた場面、ワンポイント、追い上げられて流れを断ちたいときとどんな場面でも投げる「何でも屋」です。

 救援陣の4番手以降の役回りで僕も現役時代に体験しましたが、この立場は非常にハードです。先発が経験の少ない投手ならばブルペンで初回から準備をします。登板に備えて試合中に3、4度肩を作ることも珍しくありません。「ここだ」と思った場面でも試合の展開次第で登板がなくなる。精神面でもオンとオフのスイッチの切り替えを何度もするため、試合に投げなかったのにぐったりすることも珍しくありません。

 セーブやホールドと目に見える数字で結果が出ないので目立ちませんが、その役割は重要です。セ・リーグでは首位を走る広島のアドゥワ誠投手は28試合登板で2勝3ホールド、防御率3.00、DeNA三嶋一輝投手も27試合登板で4勝5ホールド、防御率2.70。パ・リーグでは日本ハム玉井大翔投手が20試合登板で1勝2ホールド、防御率2.49、オリックス澤田圭佑投手が21試合登板で2勝3ホールド、防御率1.64ときっちり結果を残しています。

 球宴までの期間は6連戦、9連戦が続きます。先発が早い回に降りるケースも考えられます。この「何でも屋」がどれだけ踏ん張れるかで試合展開が変わり、逆転すればセットアッパー、抑えにつなげることができます。地味かもしれませんが、投手陣全体の負担を軽減させるためにも、彼らはチームに不可欠な「ジョーカー」です。混戦を抜け出す存在として注目してみるのも面白いかもしれません。

記事提供=ココカラネクスト編集部 平尾類
ココカラネクスト編集部

元DeNA・林昌範氏(写真=ココカラネクスト編集部)


●林昌範(はやし・まさのり)
1983年9月19日、千葉県船橋市生まれの34歳。市立船橋高から2002年ドラフト7巡目で巨人入団。06年には自身最多の62試合に登板するなど主に救援で活躍。08年オフにトレードで日本ハムへ移籍した。11年に退団し、12年からDeNAに加入。昨オフに戦力外通告を受けて現役引退した。通算成績は421試合で22勝26敗22セーブ99ホールド、防御率3.49。186センチ、80キロ。左投左打。家族はフリーアナウンサーの京子夫人と1男1女。
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