今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永く、お付き合いいただきたい。 西鉄ファンの意見も真っ二つに
今回は『1962年11月19日号』。定価は40円だ。
デトロイト・タイガースの転戦が続くが、さほど盛り上がっている様子はない。むしろ球界の話題は「ストーブ・リーグ」にある。
一番はV逸した
巨人。1億円の補強費を準備し、ほぼ全員がトレード要員と言っていたようだが、記事を読むと、さほど現実味はない。外国人補強はしないという不文律もあり、意外と無風で終わりそうな雰囲気だ。
二転三転したのが、南海・
鶴岡一人監督の大毎移籍騒動。政治家まで巻き込んでの大毎・永田雅一オーナーの熱烈ラブ
コールに一度は条件付きのOKを出したようだが、球団の説得もあったのか「球団からパ・リーグのために大毎に行けと言われたのならともかく、自分から出ていくとは言えない」に変わり、最終的には残留となった。
今回に限らず、永田の強引なやり方には賛否両論があったようだが、チームの不振と観客動員低迷を打破するため、話題作りも込め、鶴岡獲得を狙う、はオーナーとして間違ってはいないようにも思う。彼にとって球団経営もビジネスであり、勝負。やるからには勝つ、ということだろう。
もう一つ大騒動となっているのは、西鉄・
豊田泰光だ。
中西太兼任監督との確執は、もはや修復不可能となっていた。豊田が10年選手の権利を得ていたこともあり、移籍が現実的になってきたが、ケガで欠場が多かった中西に対し、多少のケガでも体を張って戦う豊田を好む西鉄ファンも多く、地元ファンの意見が真っ二つになっていたらしい。
ただ、球団は豊田を絶対に引き留めると言いながらも、すでに外国人3人の獲得に動いており、豊田のトレードで相手先球団から入るトレードマネーを獲得資金にあてるというウワサもあった。
この手の話は、常に虚虚実実である。
この号から巨人・
王貞治の実録小説『青春ホームラン王』、
阪神・藤本定義監督の手記『風雪・プロ野球30年の夢』がスタート。
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では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM