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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

強豪に挑む168センチ、小さな大エース

 

都市対抗の開幕まで約2週間。練習、オープン戦で調整する東京ガス・臼井


 7月13日に東京ドームで幕が開ける第89回都市対抗野球大会。出場32チームが栄光の黒獅子旗をかけて12日間の熱戦を繰り広げる。1回戦屈指の好カードと予想されるのがトヨタ自動車(東海地区第1代表)と東京ガス(東京都第3代表)の一戦だ。

 昨年、社会人日本選手権を制しているトヨタ自動車は、34歳ベテラン右腕の佐竹功年や元ソフトバンク捕手の細山田武史らを中心に、投打にバランスが取れており優勝候補の筆頭だ。都市対抗では2016年に優勝を飾っている。

 これに立ち向かうのが初の頂点を狙う東京ガスだ。都市対抗では過去2度ベスト4に進出しているが(1981年、2016年)、優勝はまだない。2年前には右腕・山岡泰輔(現オリックス)を擁して、準決勝に進出したのが記憶に新しい。今季からチームを指揮する山口太輔監督を中心に、チームのモチベーションは高い。

 そんな東京ガス投手陣の先発の軸になるのが入社2年目の右腕、臼井浩。光明相模原高(神奈川)ではほぼ無名も、中央学院大で才能が花開いた。先発、リリーフで活躍し、大学4年の大学選手権では準優勝の原動力となった。

 東京ガスでは1年目の都市対抗後に先発に転向すると、秋の日本選手権ではNTT西日本との1回戦で3安打完封勝利するなど6勝を挙げ、社会人年間表彰の最多勝に輝いている。そして、主戦として挑んだ東京都2次予選では、第3代表決定戦(対明治安田生命)に先発すると8回途中まで2失点の力投でチームを6年連続の都市対抗出場へと導いた。

 大舞台を前に都内のグラウンドで汗を流す臼井は、「1回戦は強豪ですが、相手がどこであっても自分ができる最高の投球を披露するつもりです」と気合い十分。身長は168センチと小柄ながら常時140キロ後半のキレのある真っすぐと、スライダー、フォークが武器。今季から習得したカーブをアクセントにすることで、投球の幅が広がった。

 理想とする投手に同じ東京ガス出身で、ほぼ同じ体型の楽天美馬学の名前を挙げる。今秋のドラフト候補でもある小さな右腕は、大役を果たす覚悟はできている。

「先制点を許さないこと。チームが負けている状況をつくらない。そして、自分が最後まで投げ切るという強い気持ちでマウンドに上がりたいです」。強豪を相手に臼井がどんな投球を見せてくれるのか、注目したい。
文=滝川和臣 写真=川口洋邦
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